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◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


「専門領域以外のことに関心を持たねばイノベーションは出来ない」



平成30年6月6日水曜日のメルマガ配信します。

季節の循環で冬至の反対側の夏至が巡ってきました。

地球の自転で夜と昼が巡り地球が太陽の周りを回る公転で
季節が巡る。

ミクロの世界では原子核の周りを電子がまわる
宇宙はマクロもミクロも回転しています。

回転という現象は宇宙から原子まで
産業界では自動車や電車の車輪の回転
電機モータの電力から回転軸の回転で機械的駆動力をつくるメカニズムまで
世界は回転現象で成り立っている。

■6月1日金曜日、毎年担当している、法政大学の特別講義に
ドラッカーのマネジメントについて講義しました。

妻の介護も企業の経営コンサルタントの仕事も
ドラッカーマネジメントでは同じだというメッセージに
学生からの聴講メモに驚きとともに共感も感じられました。

経営コンサルタントの手法は
「診断と処方」という医療や介護の方法論と同じものがあります。

■医療も介護も専門的に分かれる。

経営も技術も専門が細分化されている。

専門家の限界は
自分の知識を応用することに焦点を当て
問題となる現象を観察して受け入れるスタンスに弱いことにある。


ドラッカーのマネジメントは「社会生態学」という
社会現象を専門家の視点ではなく社会問題として俯瞰して診断し処方する。

「自然生態学」が
生き物を生きたまま種の共生や競合を俯瞰的に観察するのと
同じ方法論です。


俯瞰的に問題や課題を見るには
専門領域外にも関心を持たねばなりません。

回転という現象を宇宙から原子の運動まで俯瞰できるか。


さて、
本日のテーマ
====================
「専門領域以外のことに関心を持たねばイノベーションは出来ない」
「イノベーションと企業家精神」(P.F.ドラッカー、ダイヤモンド社)」より
==================

■電球の発明者はエジソンと言われているが、
イギリスの物理学者ジョセフ・スワンも同じ発明を行った。
むしろ理論を持っている分エジソンより優れていた。

エジソンは顧客にその価値をとどけるという
イノベーションの目標を設定していたから
電球の技術だけではなく
ガラス玉、真空、密閉、フィラメントなど製造技術、
電気を引く権利や電球の流通システムなど
サプライチェーンまで構想していた。

スワンは科学者として製品を発明したが
エジソンは産業を生み出した。


■イノベーションに失敗するのは
科学的な知識以外の、専門領域以外のことに関心を持たない
企業家自身に起因する原因がある。

多くの発明者は
顧客にとっての価値より技術的な価値のみに拘る。

企業家というより発明家であることに
価値を置くのは企業家とは言えない。


■現代産業の中で
イギリスの産業革命の起爆となった蒸気機関に次いで
画期的な発明は電気モーターと言える。

電機モータは1856年ドイツのベルナー・ジーメンスが発明した。

ファラデーの電気理論から25年前経っていた。

それから22年間は何も起こらなかった。

マックスウエルの電磁気理論が生まれるや
5年間の間に電機メーカーが100社以上が設立され
乱立した。

電機モータは工場における蒸気機関や水車を駆逐し
社会を激変した。

GE,ウエスチングハウス、ブラウン・ボべり
ASEAなど一部メーカーのみ生き残った。


■生き残った企業は
例外なく初期のブームで生まれたものだった。


技術のみではなく
顧客に価値を届けるまでのサプライチェーンに必要な
全てのことに配慮した企業が生き残った。

知識に基づくイノベーションのリスクは
知識に頼り過ぎることにある。

自分の専門領域のみで勝負するものは
専門領域以外にも関心を持つものに敵わない。




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