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「大谷翔平の二刀流をマネジメント視点で見る」



平成30年4月11日水曜日のメルマガ配信します。

早く満開になった桜も葉桜となる
初々しい緑が心地いいですね。

今何と言っても日本だけではく米国で注目されているのは
初々しさがありながら
二刀流で活躍しているロサンジェルス・エンゼルスの
大谷翔平ですね。

森友・加計の国会や北朝鮮問題の暗く淀んでいる政治の話題の中で
新鮮な清々しい話題を提供しています。


■二刀流と言えば宮本武蔵ですが、
日本では文武両道や
ものづくりでは多能工など一つの専門ではなく
複数の分野に秀でることは伝統的に高く評価されている。


違う分野を統合することで
新しいイノベーションが生まれる。

一見違う分野に見えても
高い視点から見ると同じ能力を発揮している。

野球に限らず一つの専門に固執すべきだという
専門分化がイノベーションを阻害しているのでは
無いかと思います。

大谷翔平は投手の能力が打者となって投手を観察し
投手となて打者を観察できるメリットがある。

試合の流れを俯瞰的にコントロールできるという
メリットがあるのではないかと思います。

■僕のサプライチェーンマネジメントという
モノの流れのダイナミックス(力学)と
回転体振動のダイナミックス(力学)の二刀流で
イノベーションを狙っています。


やや僭越な言い方ですが
一つの分野だけでは見えなかった
現象を心眼で見ることができたように思います。


さて、
本日のテーマ
====================
「需要のリズムに合わせてタクトを振るオーケストラ生産」
「トヨタ生産方式のIE的考察」(新郷重夫、日刊工業新聞社、1980年)」より
==================

■通常の工場では
複数の工程を連鎖してものづくりが行われる。

それぞれの工程の能力差がある場合には
作業員の待機時間と機械の待機時間が発生する。

工程能力とは速度(時間当たりの生産量)である。

速度が違う車が一車線を流れると
車間距離が広がり後続車が遅れるか
衝突するかどちらかである。

作業員の待機時間も機械の待機時間も
機械が止まる時間であり
車が停止する時間であり流れが止まる。


■金属の生産工程に「材料打ち抜き」工程の後で「プレス」して
ものが出来上がるとして
それぞれの能力(速度)に違いがあるのが普通である。


その時打ち抜き工程の最大能力が1分90個で
プレスの最大能力は1分60個しかできない場合、
それぞれの工程の生産性を最大にすれば
プレスの前に1分30個づつの仕掛在庫が溜まる。

在庫とはモノの停滞であり流れの阻害である。


■トヨタ生産方式では停滞を無くし流れ生産(フロー生産)を
重視する。

上記の事例では2つの工程の遅いプレスに合わせて
打ち抜き工程を1分90個から1分60個に落として
稼働率を100%ではなく66.7%に遅くする。

それだけではない。

必要な量(実需)が1分50個なら更に速度を落とし
打ち抜きの稼働率は56%にプレスの稼働率は
83%にする。

実需の速度が50個の時生産速度が60個なら
完成品が1分間に10個づつ在庫になる。

トヨタ生産方式では実需に合わせて
調整する生産をタクト生産又は平準生産という。

新郷氏は間歇運転、あるいは低速運転という。


■最大以下の能力を発揮すると待ち時間が増えるので
コストが増えて損するのではないかと考えるが
それは見方が狭い。

月20日の稼働日で10日働いで10日休む工場と
毎日8時間労働時間の半分の4時間を20日働くのは
稼働時間では同じである。

タクト生産、平準生産、間歇運転、低速運転
いろんな言い方があるが
すべて需要に速度を合わせる同期生産である。

需要のリズムに合わせてタクトを振るオーケストラである。








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今岡善次郎


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