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「一つの物質か一つのテーマで人生を賭ける」



平成30年3月14日水曜日のメルマガ配信します。

3月は卒業や退任退職の季節ですね。

僕も2年前の3月には大学院MBAコースの客員教授を
退任しました。

■10日土曜日高校の同窓の友人が有名な私立大学を
退官するにあたり
退官記念講演会に数名の友人と参加し
その後食事会しました。

2時間の及ぶ講演は大学の卒論、修士論文、博士論文から初めて
米国大学での研究、
帰国しての研究や学生や大学院生への教育指導、
教授として活躍する教え子も多く、
素晴らしい人生を送ったことが分かりました。


■有機化学のある物質に焦点を当てその化合物の合成や
機能を研究して大きな業績を上げているらしい。

僕と同じ理系ながら彼は有機化学で
僕は物理・力学の応用である機械工学でそれぞれ違う分野ですが
彼は一つの専門分野で
一途に特定の物質を研究する学者です。

■一方僕は日本企業2社、米国企業2社の4社の22年の企業勤務の後
自営業コンサルタントと大学の客員教授として22年間
技術、ITシステム、マネジメントの多様なテーマを
追って仕事しました。

正反対のキャリアですが
僕の中ではどんな仕事でもテーマはイノベーションで
一筋に生きてきた点では共通しています。

イノベーションの事例を分析したり
自分独自の手法やシステムを創ることに挑戦して
きました。

一つの物質か一つのテーマか
人生を賭ける仕事で一生送れるのは幸せだと思いまた。



さて、
本日のテーマ
====================
「マネジメントのイノベーション」
「イノベーションと企業家精神」(P.F.ドラッカー、ダイヤモンド社)」より
==================

■現在の経済社会の問題解決の殆どは
マネジメントの問題と考えることができます。

企業が安定的に収益を上げて存続するのも
失業を無くし、社員が健康に働くことができるのも
国家経済を安定的に運営するのも
戦争の危機を回避するのも
すべてマネジメントの問題です。

ドラッカーに言わせると
現在のマネジメント教育で使われる材料の多くは
第一次世界大戦の直後にはほとんど揃っていた。

現在もマネジメント教育のMBAやマネジメントを実践する人々は
組織論や会計学、人事論、IT論、
そしてマーケテイングやイノベーションと言われる戦略論まで
一つの局面に的を絞っている。

■だが、その知見は
1923年のハーバード・フーバー、トーマシュ・マサリクの
国際マネジメント大会で披露された知見や
デュポンやGMのマネジメントの概念と
それに基づく組織設計の思考からあまり変わっていない。

又世界最初のコンサルタント会社
イギリスのリンド―ル・アーウイックなどの先駆者が
マネジメントについて語っていることも
ドラッカーのマネジメントに比較すると
部分的な局面でしかない。

ある分野の専門家の知見が
イノベーションを阻害する歴史上の事例を
ドラッカーは幾つか上げている。

1270年イギリスのロジャー・ベーコンは
眼鏡による視力矯正を発見したが、
当時の最新知識とは相いれなかった。

当時の権威ある医学者たちによって
視力の矯正は不可能であることが最終的に証明されていた。

■しかしベーコンは文化の僻地、北部ヨークシャーにいて
当時の常識を知らなかったことが幸いした。

紀元1000年頃、文化の僻地北部ヨーロッパの修道士が
穀物をひく水車を発明して30年後に
ヨーロッパに広まった。

ドラッカーは経営の専門家でも実務家でもなく、
社会生態学者を自称していた。

マネジメントの専門家ではなかった
ドラッカーが「企業とは何か」「現代の経営」を書いて初めて
マネジメントが集大成され体系化されて世界に広まった。

30年を過ぎた現在もドラッカーの
イノベーションのリードタイムの途中である。

■最近のICT(情報通信技術)である
AI(人工知能)やIOT(モノとモノの繋がり)
が人間の脳のメカニズムによる学習機能に広がっているが
この研究も局部的にしか焦点が当たっていない。

これがマネジメントのイノベーションにつながるには
ドラッカーのマネジメントの体系が威力を発揮する。

脳のメカニズムの研究がICTの進化に役立つ。

人間の生命現象が組織の生命現象と似ており、
社会の生命現象とも類似していることから
社会生態学のドラッカーのマネジメントとは
相性がいい。

ついでに言うのなら社会貢献をベースに置く
「三方良しの近江商法」の日本的経営は
欧米のマネジメント進化のプロセスで1周遅れでありながら
最先端にあるのかもしれません。

ドラッカーのイノベーション・マネジメントも
現在進化途中のリードタイムの最中にある
と言えます。




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今岡善次郎


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