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第440号
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「華々しい戦略的理想からではなく現実に即して一歩づつ進む」
2016年12月21日水曜日、今年も後10日を残すのみです。
妻の介護を施設や病院のプロにお任せして
子供達と週一程度の面会で家族の絆を確認しながら
僕も子供たちもそれぞれの仕事や生活を犠牲にしない年を送りました。
僕の仕事は回転軸振動低減と
需給振動SCMの研究で大きな一歩前進がありました。
■今年最後の講演を「流通楽座」主催で
「需給振動制御としてのSCM」を発表しました。
流通、ロジスティクス、生産などをICT(情報通信技術)で構築する
30人の業界専門家の皆さんに90分の時間を頂きました。
良い質問もありました。
総需要が一定期間同じでもランダムに変動する場合、
同じトレンドで伸びる場合、同じトレンドで減少する場合、
季節変動のように周期を持った波のように変動する場合
それぞれ生産や仕入れによって
利益は2倍以上違うことを
シミュレーションで実証するモデルができました。
変動する需要は生産システムにとって環境が与える外乱となる外力であり
生産や仕入れは環境に適応して制御しなければならない。
講演後の懇親会、場所を変えた二次会で
実務家から現実の感覚と会うとか、
これは日本発のSCMとして売れるのではないかとの
好評をいただきました。
12月6日北海道札幌での日本機械学会最適化シンポジウムの講演は
大学に先生方が多かったのですが、
実務家にも大学関係者ともに評価頂いたと
思っています。
■トヨタ式生産システムはじめ優れた日本的経営は
始めから戦略的デザインで開発されたのではありません。
現場で試行錯誤しながら
水泳やリレー競技などメタファ(比喩)のモデルで
シミュレーションながら一歩づつ進化させた成果です。
僕のモデルも振動力学現象のイメージのメタファーから来ています。
さて、
本日のテーマ
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「真面目な知的エリート意識が非現実的理性主義を生んだ」
「日本人の価値観:生命本位の再発見」(立花均、ぺりかん社)より
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■日本人の自虐観は日本以外の理性主義に対して
日本人の感性重視、情緒重視、
生命本位現実的思想を批判する。
古くは仏教や儒教の外来思想、江戸末期から明治にかけては
西洋の科学技術、社会科学思想の理性に日本人は
伝統的思想である生命本位の思想を古臭いものとして
近代的な思想で覆い隠した。
理性主義は
「人間は泡やかげろうのような存在ではなく
絶対的な価値を持つ完全で永遠の存在と思いたい欲求」
から宗教や哲学や思想を創造してきた。
■泡のような存在から逃れたい。
自分を
価値の高い存在、
高貴な存在、
無限の叡知を持つ存在
としたい。
人生を夢幻のようなはかない存在だと思いたくない。
すくなくても知的な思考能力や表現力に誇りをもつ人間は
人間は絶対的価値をもつ特別な存在であり、
そうではない人間は未開で未熟な存在として区分する。
これが階層社会を生み、貧富差を無意識に容認する。
あるいは上から目線で生命本位の人間を
一般大衆として区別し理性主義の自分のエリート意識で
安寧を得ようとする。
■しかしながら
賢き者も愚かな者も、富む者も貧しい者も誰しも
儚い人生を生き、理性で理論武装したユートピアは
実現しなかった。
EUの政治経済統合の理想論も英国の脱退で危ういし、
米国の男女人種間の平等、自由貿易の理想も
トランプ次期大統領で危うくなった。
日本も民主党政権の理想主義は短期で破綻し、
アベノミックスの経済政策も効果が観えない。
理性主義は一転悲観論のニヒリズムを生む。
世界で蔓延しているテロ、中東の絶え間ない戦争は
ニヒリズムの現れではないかと思います。
■西洋でも東洋でも優れた頭脳が理想的な社会を設計してきた。
政治社会も企業組織も戦略デザインが何度も
もてはやされてきた。
多くの場合犠牲者を伴って崩壊している。
真面目な知的エリート意識が非現実的理性主義を生んで
失敗に終わる。
答えは理性主義と生命本位の2項対立ではなく
生命本位の現実を土台として理性を道具として利用する
ことにあるのではないか。
成功とは華々しい戦略的理想からではなく
現実に即して一歩づつ進むことだろうと思います。
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今岡善次郎
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