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第271回
★ドラッカーから学ぶ仕事の哲学★
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「日本画とドラッカー」
●終戦記念日8月15日に
ハリウッド映画「終戦のエンペラー」を見ました。
日本映画で以前作られた「日本の一番長い日」
を見ても、
日本の降伏は軍部でも当時の内閣でも
できなかった。
天皇の決断だった。
日本帝国軍隊は降伏する決断どころか
クーデターで
天皇の降伏宣言(玉音放送)を阻止しようとした。
明治以降の日本の軍隊は
どんな思想的な原理で設計されていたのか
大変興味があります。
日本画観賞から
ドラッカーは興味深い説明してくれます。
●日本人は
中国大陸から来た仏教や儒教も、
明治期の西洋文明も
長い時間かけて混乱な時期を乗り越えて
すべて日本風に取り入ることに成功した。
中国の水墨画も、西洋の遠近法も、
企業組織や経営技術も
日本流に変えた。
中国は算術,
西洋は幾何学,
日本はトポロジー(位相数学)
に喩えています。
トポロジーは
ニュートン力学に対する量子力学のように
算術も幾何学も包含する。
そこにあるもの、
神道に相当する精神的なものが
中核にあるのではないかと。
神道は宗教でも科学でもなく
精神性であり、感性である。
ただの金属が日本では金に変わることもあれば
外国文化はただのくず鉄になることもある。
●クズ鉄になった事例、
西洋文化導入の混乱の事例として日本帝国軍隊を
上げています。
明治政府による西洋式軍隊導入は
西洋の民族国家の思想を利用して
ドイツの君主制をまねて
天皇を利用する幕藩体制にしようとした。
西洋から輸入された民族国家の思想と
徳川幕藩体制が結びついて
毒性の強い軍人政治というクズ鉄になったと
ドラッカーは観察しました。
日本の軍国主義は西洋から学んだ
毒性の強い政治体制だったとドラッカーは
見ていたようです。
●現代の日本の問題で言えば
西洋から来た民主主義や近代科学文明、
そして市場資本主義経済システムは強力な
金属と言えます。
その金属を
日本人の美意識、感性で「金」に変えることが
もしかしたら
ドラッカーが望んでいたことかもしれません。
ドラッカーは日本画から
日本人の美意識を観察して日本人が本来持っている
可能性に期待していました。
知・仁・勇
鏡・勾玉・剣
三位一体のマネジメントはドラッカーから
学ぶカフェ塾で目指す方向です。
来年から
ドラッカーの問題意識を尊重しつつ
ドラッカーから離れます。
守破離です。
■■■第6期 2013年秋期開講のお知らせ
コミュニテイカフェ「ドラッカー塾」ご案内■■■
毎期進化し続けますが、
現状のカフェ塾最後のコースとなります。
第8期2014年春期から大きく変更進展します。
変更点、
塾講師は私一人から複数へ(現在検討中)
講義室は別の場所へ(現在検討中)
カフェは手づくりからプロのシェフへ
時間配分、料金も変更します。
年内企画完成して
来年2014年から募集開始します。
テクニックではなく思想、
知識ではなく習慣、
論理ではなく実践、
生活の手段ではなく生き方
たとえ金銭的な目的であっても
仕事には何のために生きるのかの答えが
無くてはなりません。
第6期10月からドラッカーマネジメント塾最後のコース
開講します。
ホームページ
↓
http://k.d.combzmail.jp/t/ce7j/c01eppv0ml4vslvhavxK0
チラシ
↓
http://k.d.combzmail.jp/t/ce7j/c01eqpv0ml4vslvhavreM
<初回の日程>
週末コース初回10月5日土曜日15:00〜
平日コース初回10月10日木曜日18:30〜
事例研究「アンパンマン・二宮尊徳・ドラッカー」
テーマ1「塾コンセプト ドラッカーとマネジメント」
テーマ2「ドラッカーの枠組みでみる人間の本質」
facebookで様子紹介
↓
http://k.d.combzmail.jp/t/ce7j/c01erpv0ml4vslvhavYYm
さて、
本日のテーマ
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1.刻苦光明(こっくこうみょう)
2.リベラル全体主義VS自由保守主義
3.豊田佐吉
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1.刻苦光明(こっくこうみょう)
■禅の心を説いた白隠(はくいん)が出家したのは
恐怖から逃れる動機があったそうです。
多感な少年時代に小鳥や虫を凄惨な殺し方をしていた時、
仏教書「往生要周集」の地獄の話を聞いた。
自分は地獄に行くのではないかと
恐れ驚いた。
■白隠にとて「地獄への恐れ」という不安が
出家と修業の動機になった。
修業とは現代では学習とトレーニングの
意味合いがあります。
学習やトレーニング(訓練)は就職のため、
良い仕事をするための能力開発であり、
恐れや不安とは違います。
■白隠は修業中に
中国明時代の「禅関策進(ぜんかんさくしん)」という
禅の修業者が読む書物に接しました。
「刻苦光明(こっくこうみょう)
必盛大(かならずせいだい)」
心身を苦しめて努め励めば必ず光明が輝く。
心身を苦しめることで
自分を磨き生きていることに
大きな意義と喜びが得られるのだと。
生きて得るところがないような人間では
生まれてきた甲斐が無いとさえ思った。
■白隠は
たった一度しかない一生を活かすことが
できなかったら
人間として生まれた意味がないと自分を苦しめて
鍛えたのです。
人は恐れたり不安になったりしても
心も身体も鍛えることで
恐怖や不安を乗り越えて
充実した人生を送ることができる。
それが禅の修業だと。
「学習する組織」で有名なピーター・センゲも
組織が平穏にマネジメントされるには
一人ひとりのパーソナルマスタり―(自己修業)
が大事だと述べています。
2.リベラル全体主義VS自由保守主義
■ヒトラーのナチス社会の原因を分析する過程で
ドラッカーは大きな二つの思想的潮流を
観察していたように思います。
アメリカの独立は
イギリスの絶対主義・理性主義の潮流を
保守思想に押し戻す事件だった
というのもその事例です。
ドラッカーが高く評価した保守政治家バーク
にしてもアメリカの独立がなかったら
ほとんど何も成しえなかったという。
■絶対主義・理性主義・啓蒙主義という
同類の思想的潮流は何故生まれて来たか。
18世紀のイギリスは
賄賂と任命権によって権力を拡大する悪名高き王室、
買収と金権に貧欲な貴族
すべてに敵意を抱く中産階級
絶望した農民
からなる腐敗した社会だった。
この社会から脱するには
革命による破局か、王による啓蒙絶対主義の2つに1つ
しか選択しかなかった。
■社会の構成員が私欲に走り
公、義、誠という世のため人のためという
日本的な「持ちつ持たれつ」の伝統が無い社会では
正義を体現したエリートの絶対主義が
正しいかもしれない。
エリートの絶対主義を正当化した思想家は
最も危険なリベラルファシズム全体主義者であった
ベンサムだったとドラッカーは言います。
ベンサムは
進歩的で科学的な思想家と見なされていた。
しかし人間の本質は理性主義で解決されるほど
単純ではない。
■人間は社会的な存在であり
利己的人間と社会的人間に分けられない。
「人のためが自分のためになる」と
理性的二元論的思考から見ると矛盾しているのが
人間の本質です。
「ドラッカーは科学的ではない」と批判するのは
理性主義という一方の見方でしかないと言えます。
分業と官僚主義のマネジメントか
一人ひとりの自律性尊重のマネジメントか
の違いも
リベラル全体主義か自由保守主義かの思想的潮流に
違いの違いと似ているかもしれません。
3.松下幸之助
■日本で経営の神様と言えば、現パナソニック、
元松下電器の創業者
松下幸之助です。
商売の基礎を丁稚から鍛えあげて
現場現実からビジネスの原理やマネジメントの極意を
編み出した。
商売(ビジネス)とは何か、利益とは何か、
顧客とは何か、
ドラッカーの問いと同じ問題意識を持っていました。
■商売(ビジネス)は世のため人のための奉仕にして、
利益はその当然の報酬なり。
売る前のお世辞より、売った後の奉仕。
これこそ永久の客を作る。
無理に売るな。
客の好むものも売るな。
客のためになるものを売れ。
良き品を売ることは善なり。
良き品を広告して多く売ることはさらに善なり。
自分の行う販売がなければ社会は運転しないという自信を持て。
そしてそれだけに大なる責任を感ぜよ。
■経営理念が単なる利害、
単なる拡張というだけではいけない。
それらのことが、いわば何が正しいかという人生観に立ち、
かつ社会観、国家観、世界観さらには
自然の摂理というところから
芽生えて来なければならない。
いつも他の人にものを与えたいというのであれば、
まず自分の腹を満たしておかないと、
他に与える活動すらもできなくなってしまう。
いったい生産者の使命は
簡単にいうと、
この世の貧しさを克服することである。
たとえば水道の水はもとより価のあるものだ。
しかし道端の水道を人が飲んでも誰もとがめない。
これは水が豊富だからだ。
結局生産者はこの世に物資を満たし、
不自由をなくすのが務めではないのか。
■顧客への強烈な奉仕精神、
企業は社会の機関とする社会的な使命感、
利益はそれらを達成する手段。
貧しさを克服するという使命は
現代なら
「心の貧しさ」を克服することも
企業の使命になるかもしれません。
これらはドラッカーの原理と同じで
戦略的理論やテクニックではなく思想と言えるものです。
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多摩大学大学院客員教授
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