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                   第243回   
     ★ドラッカーから学ぶ一流の仕事術★ 
     
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『全体の関係の中での存在』 
  
● 2月8日金曜日
ホテルニューオータニ宴会場にて
東京東ロータリークラブの定例会の
卓話する機会を頂きました。

ロータリークラブとは地域社会に貢献する
経営者、医師、会計士などで構成され
地域毎に定例会が開催されています。

●僕の卓話の演題
「介護とドラッカーマネジメント」

修羅場の喜怒哀楽の体験談を
話しました。

そして
ドラッカーの人間存在についての名言、

部分である人間は全体の関係の中でしか存在できない

孤立しがちな介護者が、
家族会で同じ体験者とは話しあうこと、
医療福祉の専門職と触れ合うこと、
市民のボランティアの助けを受けることで
勇気を貰う。

アドバイスしたことで死を思いとどまったと
言われたこと。

家族、友人、地域社会の中で自立し、
助け合う文化に貢献することの重要性など
話しました。

●ドラッカーの
社会生態系の役割としてのマネジメントとは
人も組織も社会の機関(器官)である。

顧客の創造とは
仏教の「布施」「度衆生」
と通じることなどドラッカーと
東洋思想との相似性に触れました。

熱心に聞いて頂き感謝です。

さて、
本日のテーマ
===================
1.仏教の日本化
2.奉仕する権力
3.忍耐と積み重ね:愚直さ
===================
 
1.仏教の日本化

■最澄と空海は中国に渡り仏教を学び
日本に多くの経典を持ち帰りました。

最澄は比叡山で天台宗を、
空海は高野山で真言宗を
開宗しました。

中国伝来の仏教の日本における
教祖と言えます。

■仏教は修業による悟りを求めます。

最澄も空海も
自分に対して激しく修業しました。

どちらも山に籠って自己修錬を要求しました。

■最澄や空海は「自力による悟り」を重視したのに
対して在家仏教の法然は
「他力による悟り」を開発しました。

「阿弥陀仏(あみだぶつ)」にすがって念じることで
救われると教えました。

強い自分を作り人も自分も助ける仏教から
より大きなもの(仏)にすがる他力本願
の仏教が法然によって始まりました。

後の親鸞、一遍、日蓮にも繋がる
日本化路線の始まりです。

お経を唱えるだけで救われるという
他力本願の日本仏教の特徴と言えます。

■「仏」とは真理を把握した理想の人間像であり
人間は悟りを開いて「仏」になるのだというのが
本来の仏教だと思います。

日本古来の神道では
「神」は大自然、宇宙、社会など
自分を含む大きなシステムなのです。

だから人間は「神」にはならないが「神」の一部であり
「神」と共生していると
考えるのです

他力本願の「仏」に
神道の「神」を見るというのが
僕の解釈です。

阿弥陀仏も妙本蓮華経も
人と人、人と社会の絆、共生の安心感
を日本仏教は与えてくれたと
考えては如何でしょうか?

より大きな存在の一部であるとの
安心感が日本仏教の特徴であると。

そして大きな存在に対しても
責任があるのだと。
 
2.奉仕する権力

■政治でも民間企業でも
組織にある種の権力があって何かを実現できる
ことは否定できません。

意思決定も組織に権力があるから
可能になります。

民主政治の場合、権力は選挙によって
与えられます。

■政治体制とは社会の目的とその実現のために
権力を組織化するメカニズムであると
ドラッカーは観ました。

メカニズムとは道具であって
価値ではない。

権力は社会の目的とは関わりがないのです。

■おカネは経済活動を回す道具ではあるが
おカネそのものは社会の目的ではありません。

権力もおカネを同じように手段であって
目的ではない。

おカネや権力が目的となった社会は
住みにくい社会となります。

■権力もおカネも
社会を回す道具であり強力なツールであるが、
これを何に使うかが問われます。

大事なことは
社会はどうあるべきかを問うことです。

一部の人間のために大衆が犠牲にならない社会。

権力は誰のために
どんな役割と立ち位置で大衆に奉仕するか
が問われます。
 

3.忍耐と積み重ね:愚直さ

■日本のモノづくり現場の「改善」は
カイゼン、KAIZENなど国際用語となって普及している反面
製造現場よりITだ、ビジネスモデルだと
言われ続けてきました。

日産のゴーン氏は改善魂を
「ステップバイステップの積み重ね」
という言い方をしています。

■欧米のマネジメントスタイルは
現場改善より革新、イノベーションを優先します。

一気に飛躍することを狙う。

しかし日本では現場で愚直に改良を加えていくことを
大事にしてきました。

お客様のクレームを聞きながら
不完全な部分の修正を繰り返す。

■人間が作ったもので完全なものはありません。

完全を求めてもミスがあり、見落としがあり、
失敗もある。

想定外の運転条件もあり得ます。

人間は不完全だけれどいつまでも完全を求める。

問題は無数にあるがいつまでも問題解決に取り組む。

学ぶべきことは無数にあるが、いつまでも学び続ける。

■このような忍耐と積み重ねの日本的愚直さは
仏教の四句誓願に通じます。

「衆生無辺誓願度」
(悩める民衆は無限だが誓って救うことを願う)
「煩悩無数誓願断」
(煩悩は無数だが誓って断つことを願う)
「法門無尽誓願知」
(知識は無尽にあるが誓って理解することを願う)
「仏道無上誓願成」
(仏道は無上だが誓って成就することを願う)

MITのピーター・センゲは「学習する組織」において
仕事は生活の手段から
神聖なる自己マスタ―
(personnel mastery修業)に変わるべきだと
述べています、

●ご質問ご意見は気軽に
返信でご意見よろしくお願いします。

imaoka@bizdyn.jp

今岡善次郎
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多摩大学大学院客員教授
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部分である人は人との関係でしか存在しない。仕事の場で人は組織
の関係でしか、存在しない。どんな専門も他の専門との連携でしか
仕事の成果を生まない。企業は社会との関係でしか存在しない。
科学的管理が説く、外部は単なる環境ではなく、
企業は社会の一部である。