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 ――‐ ――‐ ―‐ ― ―‐ 福岡アジア文化賞 メールマガジン
 ● アジアの風だより ●・Vol.20                     [2009/ 3/19]
 ‐― ‐―― ‐―― ‐――    http://www.asianmonth.com/prize/
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====== ■  も  く  じ  ■  ==========================================
【1】[福岡アジア文化賞人物群像] その三:アン・ホイ氏
【2】[2007年受賞者] "サムルノリ"金徳洙氏 の半生記出版!
【3】[2002年受賞者] 張芸謀監督 建国60周年記念映画を監督
【4】[アジア本紹介]  「中国革命を駆け抜けたアウトローたち」
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 【文化賞人物群像】と題して、第19回福岡アジア受賞者たちのエピソードを
紹介するシリーズ、トリは大賞のアン・ホイさんです!

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 【1】【文化賞人物群像】その三 アン・ホイ氏
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    第19回 大 賞 受賞者
    「アン・ホイ/許鞍華」
      香港 / 映画監督
    http://www.asianmonth.com/prize/19/index.html

■<< あの名作、あのシーン … トマト盗人は実話!? >>■

 アン・ホイ監督の第一印象は、とにかくパワフル。きっと、映画を作るとい
うことは、限られたスケジュールの中で、多くのスタッフを使い、天候やキャ
ストのコンディションもあって… と考えただけでも大変なエネルギーがない
とやっていけないのでしょう。でも、細やかな気配りと優しさにあふれ、とて
も気さくな監督でした。一緒に来福したご年配のお母様や事務局スタッフにも
気遣いを絶やすことなく、酸いも甘いも噛み分けた境地という感じですね。

 お母様といえば、実は監督の代表作の一つ「客途秋恨」は、アン・ホイ監督
とお母様の半生をモデルにしたと言われる自伝的作品。大分で撮影され、日本
で公開された時には結構話題となった映画なのですが、残念ながら今ではビデ
オで観るしかありません。

 修猷館高校生にそのビデオを観て貰った後で、アン・ホイ監督が学校を訪問
しました。若い世代の前で人生や自分の経験について語り、質疑応答でのこと
です。日本人を母に持つ、香港生まれの主人公が日本でとまどう所について、
 「あれは監督ご自身の体験ですか?」と修猷生。
 「確かに迷子になりましたよ。でも、トマトは盗んでいませんよ!!(笑)」
と監督。教室からは、どっと笑いが。そう、畑からトマトを盗むシーンはさすが
にフィクション!「自伝」と「自伝的作品」を間違えたらいけませんね〜(笑)

■<< 自らの経験で「世界を知る」、それが作品の源泉 >>■

 監督の話は「世界」を知るということ、身を以て体験するということに及び
ます。印象的な経験はロンドンの映画学校での学生時代。監督の共同制作チー
ムにはイスラエル人とアラブ人がいたということです。折しも第4次中東戦争
が勃発、二人はそれぞれ祖国に帰り、文字通り敵味方に分かれて戦いました。

 しかし、兵役を終えて二人がロンドンに戻ると、何事もないように仲良く共
同制作を再開。グループは無事作品を完成しました。
 ホイ監督はこのとき国同士の関係なんて、人と人の絆の前では殆ど意味を持
たないということを知ったといいます。

 日本人と中国人との間に生まれ、英国領の香港で育ち、今の香港に生きるア
ン・ホイ監督。多くの人に出会い、様々な経験を重ねること、監督の言う「世
界を知る」ということは、「世界を生きる」とも言い換えられるのではないで
しょうか。幅広い作風で知られる監督の、創作の源を見た思いでした。

 現在も鋭意、新作映画の制作に専念しているアン・ホイ監督。アジアフォー
カス2008で話題を呼んだ「生きていく日々」とは、またまたひと味もふた味も
違った作品だとか。日本での上映を楽しみにしましょう!       (Z)

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 【2】[2007年受賞者] "サムルノリ"金徳洙氏 の半生記出版!
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 2007年に福岡アジア文化賞【芸術・文化賞】を受賞した金徳洙(キム・ドクス)
氏の半世紀が日本語訳で出版されました。幼くして旅芸人の道に入り、打楽器
の響きに民族の鼓動を「サムルノリ」の圧倒的なリズム世界を創始した金徳洙氏
の半生を綴った魂の記録!

  http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000236814?ie=UTF8&tag=fukprize-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4000236814

 「世界を打ち鳴らせ」 岩波書店(2009年2月刊) 2,940円
 << 著 者 >> キム・ドクス   << 訳 者 >> 清水 由希子
 << 内 容 >>
  プロローグ/この手にサムルさえあれば、何も怖くない
  第 1 章/「流 浪」− 私は韓国のグローバル旅芸人   
  第 2 章/「情 熱」− 広い視野で世界のなかに向き合う 
  第 3 章/「没 入」− 何かに狂ってこそ成功する 
  第 4 章/「神 明」− 砂漠に道をつける人 
  エピローグ/この世を去る瞬間まで、ノリにのって生きる

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 【3】[2002年受賞者] 張芸謀監督 建国60周年記念映画を監督
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「チャン・イーモウ監督が、中華人民共和国建国60周年記念映画を監督」
 http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFE200903090011/index.html
                                (3月9日付 eiga.com, gooニュース)

 張芸謀、チャン・イーモウと言えば、北京オリンピック式典の芸術監督を務
め、アジア映画ファンならずとも「HERO」「王妃の紋章」でもはや知らぬ人の
いない存在となった中国映画のビッグネーム。我が福岡アジア文化賞にとって
も、栄えある2002年 福岡アジア文化賞【大賞】の受賞者です。

 その張芸謀監督が、中華人民共和国建国60周年を祝賀する記念映画を作るこ
とを政府から依頼されているというニュースが報じられました。政治的理由か
ら中国政府から作品の上映を禁止されたこともある同監督。相次いで国家プロ
ジェクトを任される昨今、往時を振り返ると昔日の感があります。

 ともあれ、様々な見方はありますが、張監督の今後の活動と、世界経済で大
きな存在感を持つようになった中国の動向から眼をはなせないことは間違いあ
りません。

■<< 2002年 福岡アジア文化賞【大賞】受賞の理由 >>■
 ┌━─━─━─━ Z h a n g  ─━ Y i ─━ M o u ━─━─━─━─┐
 │アジアを代表する映画監督であり、世界の映画界の巨匠。現代中国の│
 │苦難に満ちた歩みを、一貫して農民・民衆の立場から描き、厳しい時│
 │代を彼らがいかにして生きぬいてきたかを生き生きと表現している。│
 │氏は、1980年代以後今日に至る中国映画の大いなる変革と向上の推進│
 │力でありつづけている。                    │
 │  http://www.asianmonth.com/prize/winner/index.html     │
 └━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━┘

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 【4】[アジア本紹介]  「中国革命を駆け抜けたアウトローたち」
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 ぽつぽつ、ぼちぼちと事務局スタッフおすすめのアジア本をご紹介します。

今回のおすすめ本:

 福本勝清著 「中国革命を駆け抜けたアウトローたち」中公新書 定価840円
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/412101409X?ie=UTF8&tag=fukprize-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=412101409X

 流氓(リュウマン)という言葉をご存じでしょうか。もちろん知っているという
あなたは、さては馳星周ファンですね? まあそう限らずとも、中国語で「ヤク
ザ」「チンピラ」「流れ者」というような意味の言葉だと知っている方もおられ
るかもしれません。

 本書の主人公たちはこの流氓たち。奉天軍閥の張作霖や、満州国総理の張景恵
が緑林(=馬賊)出身というのは割合に有名ですが、民国期の「土匪」「流氓」の
跳梁跋扈ぶりと「井崗山」時代含め共産党との関係は、滅法面白く眼からウロコ
がぼろぼろ落ちます。

 「流氓」「匪賊」たちの生き様、民衆のしたたかな自衛の姿と、諸々のインフ
ォーマルなネットワークを描き出す本書は中国の歴史と社会構造を理解する上で
別の見方を与えてくれるでしょう。改革・開放から30年、中国が大きな転換期を
迎えている今だからこそ、是非おすすめしたい一冊です。

−◆□−◆□− その他アジア・文化関連イベント情報 −□◆−□◆−
☆ 外国人学生が語る ふるさとの街と福岡@福岡国際交流協会(市役所北別館)
  →[毎月開催] あったか福岡HP http://attaka-fukuoka.jp/info.htm
★ 1/26-3/29 「21世紀の作家-福岡」展@福岡市美術館
  →市美HP http://www.fukuoka-art-museum.jp/jc/html/jc03/fs_jc03bis.html
☆ 3/12-3/24 「インド近代美術の夜明け−カンパニー絵画」展@アジ美
  →http://faam.city.fukuoka.lg.jp/exhibition/exb_index.html
★ 2/11-3/29 エイブル・アート2009「LifeMap 私とワタシ」@アートリエ
  →http://www.ffac.or.jp/news/313_index_msg.html
☆ 3/7-5/10 白洲次郎と正子の世界展@アジ美
  →アジア美術館HP http://faam.city.fukuoka.lg.jp/
★ 3/20 アンサンブル・アジア「櫻花開了」@住吉能楽殿
  →http://www.m-m21.com/ensemble-asia.htm
☆ 3/21 講座アジアージュ「旧石器時代のテクノパーク」@九州国立博物館
  →九国博HP http://www.kyuhaku.jp/
★ 3/22 福岡アジアコレクション(FACo)@福岡国際センター
  →http://www.fukuoka-asia-collection.com/index.html
☆ 3/27 アジアの建築・都市開発関連フォーラム@福岡ガーデンパレス
  →九大院GPハビタット工学教育 http://kyudai-archurb.jp/he/
★ 3/27 ハビタット工学 国際シンポジウム@エルガーラホール
  →九大院GPハビタット工学教育 http://kyudai-archurb.jp/he/
☆ 4/11-6/14 別府現代芸術フェス2009「混浴温泉世界」@大分県別府市
  →http://mbw2009.beppuproject.com/
★ 4/11-6/14 聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝@九州国立博物館
  →九国博HP http://www.kyuhaku.jp/
☆ 4/12 きゅーはくミュージアムコンサート@九州国立博物館
  →九国博HP http://www.kyuhaku.jp/

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