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【MBA講座】アパホテル快進撃の背景にある戦略とは?

発行部数: 11,672部  発行日:2017年01月26日

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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』
  2017年1月26日号   受講者数:26,298人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


こんにちは!

『1日3分MBA講座』をお届けする安部です。

本日は朝から嬉しいニュースが届きました!

私の執筆したコトラーの『マーケティング・
マネジメント』をマンガと共にわかりやすく
解説した『マンガでやさしくわかるコトラー』が
重版となるそうです。

出版は2015年と、およそ2年前ですが普遍的な
マーケティング戦略をわかりやすくお伝えしている
ところがご好評をいただいているとのこと。

数カ月おきに重版がかかっていて、発行部数も
ベストセラーの仲間入りを果たしました。(^^)v

この本はマンガ部分もかなり力を入れてストーリーを
考えましたので、私自身お気に入りの一冊。

終りの方では、「えっ、そんな展開があるの?」
という意外な結末が待っています。(笑)

まだお読みでなければ是非ともこの機会に
お読みいただけると嬉しいです!

http://www.mbajp.org/i/s/46e.html


それでは、今回のMBA講座も張り切ってお届けして
いきますので、最後までよろしくお願いします!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

私が連載コーナーを担当しているBizコンパスで
新しい記事が掲載されました。

今回のテーマは、ドミノピザ快進撃の強力な武器と
なった『Buy One Get One Free』(BOGO)戦略について。

ご興味がございましたら、是非ともご訪問下さいませ。


『ドミノピザは、なぜ持ち帰りだと半額になるのか?』

記事はこちら⇒ http://bit.ly/2kw0AnR


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 1日3分で身につけるMBA講座
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


さて、今回の『1日3分で身につけるMBA講座』は、
ホテル業界で快進撃を続けるアパホテルの戦略を
取り上げます。

本記事はMAG2NEWSにも取り上げていただきました!

http://www.mag2.com/p/news/233242

+------------------------------------------------+



■ 快進撃を続けるアパホテル


アパホテルが、ホテル業界での存在感を増しています。

2010年4月にスタートした中期5ヶ年計画『SUMMIT5』
では、“一点突破・全面展開”をキーワードに、
宿泊特化型ホテルだけではない総合ホテル産業
としての更なる成長とブランド力アップを実現し、
都心3区でホテル棟数No.1という高い目標を掲げて、
挑戦を続けてきました。

結果として、東京23 区内だけでもアパホテルの客室数
は1万室を超え、全国では提携ホテルを含めると
当初の目標であった4万室を大きく上回る5万1,896室を
達成しました。

この急成長に伴い、2015年の売上高は900億円に達し、
1,751億円の売上高でホテル業界トップに君臨する西武
ホールディングスとの差を確実に狭めてきているのです。

続く2015年4月からは、『SUMMIT5』の勢いを
さらに加速すべく、『SUMITT5−JIS+2D36』と名付けた
新たな中期5ヶ年計画を策定し、客室数10万室、
2020年度のホテル部門の売上高1,200億円など
更なる高い目標を掲げ、日本でダントツNo.1の
ホテルチェーンとなるべく快進撃を続けているのです。


■ なぜ、アパホテルは快進撃を続けられるのか?


驚異的な成長を遂げるアパホテルですが、
その背景には何があるのでしょうか?

ひとつの大きな要因としては、外部環境の好調さが
挙げられるでしょう。つまり、アパホテルだけが
快進撃を続けているのではなく、ホテル業界全体が
好景気の恩恵に預かっているということなのです。

ここ数年ホテル業界は空前のブームに沸いています。

特に東京や大阪、京都といった大都市圏の
ビジネスホテルは稼働率が80%前後に達し、
予約がなかなか取りづらい状況になっています。

この理由として、訪日外国人の急増が挙げられます。

日本を訪れる外国人の数は、2012年には836万人程度
でしたが、2013年に1千万人を超えると、今年2016年は
10月までの統計ですでに2千万人を超えるなど、
わずか4年で3倍近い増加を記録しているのです。

更に政府は、東京オリンピックが開催される
2020年までに訪日外国人の数を4千万人まで増やす計画
を立てており、今後も益々日本を訪れる外国人の数が
増えることが見込まれています。

訪日外国人が増えれば、宿泊施設が当然必要と
いうことで、今やホテルの建設ラッシュが大都市を
中心に展開されているのです。

つまり、このような好調なホテル需要の高まりを受けて、
アパホテルも積極的な拡大路線に邁進している
ということなのです。


■ 好調なホテル業界の中でアパホテルの突出した
成長はどこから来るのか?


お伝えしたように全般的に拡大基調にあるホテル業界
ですが、その中でもアパホテルは突出して
成長し続けているといっても過言ではないでしょう。

それでは、なぜアパホテルは抜きんでた成長を
実現できているのでしょうか?

ここでは、その成長の背景にある戦略を
浮き彫りにしてみましょう。

(1)“一点突破”の集中戦略

まず、アパホテルの強さの根幹となる戦略として、
集中戦略が挙げられるでしょう。

2010年4月にスタートした『SUMMIT5』のスローガンで
ある“一点突破”が示すようにアパホテルはニーズの
高い地区に絞って集中出店を続けています。

これは“ドミナント戦略”とも呼ばれ、特定地域に
集中出店することによって地域内でのシェアを高め、
結果としてブランド力が向上することによって、
特定の地域で圧倒的な地位を確立することができます。

このドミナント戦略は、セブンイレブンがコンビニ業界
で圧倒的な地位を確立するために採用した戦略としても
有名で、アパホテルも同じように特定の地域で
圧倒的No.1になるために、ドミナント戦略を
駆使しているといえるのです。

(2)時代の流れと逆行する“逆張り戦略”

また、“逆張りの戦略”も見逃せません。

これはアパグループ代表の元谷外志雄氏のビジネス的な
才覚によるところが大きいと言わざるを得ませんが、
これまでアパグループは経済の大きな波に翻弄される
ことなく、逆にその波を利用して拡大を続けてきました。

たとえば、2008年に起こったリーマンショックの影響で、
地価が下落し上場不動産会社の倒産が相次ぎましたが、
アパホテルはリーマンショック前に他社がミニバブルの
波に乗って不動産投資を加速させていくのと逆行する
ように所有不動産を売却して銀行借入を返済し、
難を逃れました。

そして、リーマンショック後に他社が地価の下落した
不動産を売り急ぐ中、今度は逆に買いに走り、
不動産を底値で購入することに成功します。

このような元谷氏の逆張りの戦略が、
アパホテル急成長の礎を築いていったのです。

(3)アパホテルの“勝利の方程式”

そして、アパホテルがここまで急速に勢力を拡大して
きた背景には、独自の“勝利の方程式”もあります。

アパホテルは、駅に近いロケーションに続々と新たな
ホテルをオープンさせていますが、実際に足を運んで
みると地形のあまりよくない物件を選んでいることが
わかります。

そのような物件は買い手があまりつかずに近隣の相場
よりも割安なことが多く、その土地の上に高層ホテルを
建築することにより、建築コストを大幅に引き下げる
ことができるのです。

また、一般的にホテルを建設する際には銀行融資を
欠かすことはできません。

つまり、ホテルが建設できるかどうかは、
銀行の判断次第ということなのです。

一方アパホテルは、税引き後の利益とホテルの
減価償却で生み出された潤沢なキャッシュで
建設費用を賄っており、最近では銀行融資に
頼ることなく、次々に新たなホテル建設ができる
という他のホテルチェーンにはない“勝利の方程式”が
その成長を加速させているのです。


■ アパホテル、高収益を叩き出すカラクリとは?


また、アパホテルは2015年度の実績で売上高900億円に
対して経常利益は272億円にも達しています。

つまり、経常利益率で30%とホテル業界の中では
突出した収益力を誇っているのです。

この高収益体質の背景には売り上げを極大化する戦略と
費用を極限まで削減する数々の方法があります。

(1)アパホテルの飽くなき売り上げ追求策とは?

たとえば、売り上げを極大化する戦略としては、
アパホテルは航空業界で生み出された
“レベニューマネジメント”を取り入れています。

レベニューマネジメントとは、需要の強弱に応じて
柔軟に価格を変更し、売り上げの最大化を図る戦略です。

たとえば、ゴールデンウィークやお盆、お正月など
需要が高まる時期には室料を1室3万円など高い価格を
設定してより高い売り上げを目指します。

一方、それ以外の需要が低くなる閑散期には8千円など
同じ部屋でも室料を低く設定することによって
極力空室にならないように稼働率を高めて、
売り上げを高めていきます。

このような価格の上げ下げは、すべて各ホテルの支配人
に任されており、支配人は様々なデータを分析して、
売り上げの極大化に努めることになるのです。

さらに売り上げアップに関していえば、アパホテルでは
客室の稼働率を高めるためにデイユースを取り入れて
います。

たとえば、ホテルの客室を当日の15時から翌日の11時
までなどといった宿泊だけでなく、当日の11時から17時
などといった日帰りプランも提供しているのです。

このデイユースにより、通常は利用されないスキマ時間
も埋めることになり、客室稼働率は100%を超えること
もあるのです。

アパホテルは、他にもアパカード会員による囲い込みに
よって売り上げアップを図っています。

アパホテルの利用者は、アパカードの会員になれば、
様々な特典のメリットを受けられます。

たとえば、アパカード会員は、公式サイトから
予約すれば、一般会員でも10%という高い還元率を
得られ、5000ポイントになると5000円の
キャッシュバックを受けることができます。

つまり、宿泊費が1泊1万円だとすれば、5回泊まった
だけで5千円のキャッシュバックを受けることが
できるのです。

通常クレジットカードなどでもポイントは貯まりますが、
1%〜2%の還元率なので、いかにアパカード会員の
還元率が高いかがわかるでしょう。

このような魅力的な会員特典に引き付けられ、
2016年11月30日現在でアパカード会員は1千2百万人を
超えており、日本国民の10人に1人はアパカード会員
という計算が成り立ちます。

これら多くの会員がリピーターとなって、アパホテルは
業界の中でも屈指の高い客室稼働率を誇るのです。

(2)アパホテルの徹底したコスト削減法

続いては、アパホテルの費用を極限まで削減する方法を
見ていきましょう。

アパホテルのシングルルームは一般的なホテルが
14平米に対して11平米と若干小さく統一されています。

これは1ホテルあたりより多くの部屋数を確保して
売り上げアップにつながるばかりでなく、
各部屋の光熱費を削減する狙いもあるのです。

加えて2015年からは、試験的に顧客がいたとしても
数時間で空調を強制的に止める『アイドリングストップ』
を実施して更なるコスト削減に努めています。

また、アパホテルのひとつの売りになっている大浴場は
顧客満足度を高める効果がありますが、宿泊客が客室の
浴槽を使わないことにもつながり、結果として水道代の
削減に一役買っているのです。

他にも、予約に関しては、高い手数料を支払わなければ
ならない旅行代理店は利用せず、コストのあまり
かからないインターネット経由の予約に特化するなど、
アパホテルは売り上げアップを図る策と同時に徹底的な
コスト削減を図ることによって、ホテル業界の中で
突出した利益率を実現することが可能になっている
といえるでしょう。


■ アパホテルに死角はないのか?


さて、これまでは順調に拡大路線を突き進むアパホテル
の背景をお伝えしてきましたが、果たして死角はない
のでしょうか?

まず、心配なのは資金面です。

2016年1月4日付の日経新聞で代表の元谷氏は取材に
対して「(総資産は)2000億円から2500億円程度ある。
借り入れは1000億円程度だ」と答えています。

一方、2015年度のアパグループの売り上げは900億円
なので、年間売り上げを大幅に上回る借入残高が
あることがわかります。

現状のように業績が堅調な場合は問題にならない
でしょうが、2020年の訪日外国人4000万人という数字を
基に客室数を拡大し続ければ、東京オリンピック後の
反動減で、客室の稼働率が一気に下がり、経営が急速に
傾くことも十分に考えられます。

事実、過去にウィークリーマンションの草分け的な存在
で最大手だった『ウィークリーマンションツカサ』は、
ブームに乗って拡大路線をひた走るも、バブル経済の
崩壊で景気が冷え込むと業績が急速に悪化。過大な借り
入れがたたって、最終的には倒産の憂き目に遭いました。

今は好調な需要を背景に拡大路線をばく進する
アパホテルもウィークリーマンションツカサと
同じ轍を踏まない保証はありません。

ただ、アパホテルの元谷代表は2020年以降に
繰り広げられるビジネスホテルの激しい生き残り競争も
すでに見越していると豪語します。

その際には、利益率の低いホテルの撤退が相次ぐと見て、
逆に買収などによって勢力を更に拡大するチャンスと
虎視眈々と狙っているのです。

また、人材面も死角となりえるでしょう。

アパホテルは急拡大を続けていますが、問題となるのは
各ホテルの支配人です。

特にアパホテルでは、お伝えしたように状況に応じて
臨機応変に支配人が部屋の価格を決定するなど、
大きな裁量が与えられています。

この各ホテルの支配人の能力が、アパホテル全体の
売り上げ極大化の鍵を握っているのです。

ただ、このような優れたスキルを持つ人財を育成する
のは一朝一夕にはいかず、適切な人財が不足している
のが現状なのではないでしょうか。

今後更なる拡大を図るうえで、人財不足は成長の足かせ
となりかねないことを考えれば、社内で育てることは
もちろんですが、即戦力を同業からヘッドハンティング
するなど、あらゆる手段を使って確保する必要が
あるでしょう。

光が強ければ、影もまた濃くなります。

現状、アパホテルは順調に成長しているように外からは
見えますが、急成長の歪みが必ずや内部の至る所で
噴出しているはずです。

これらの次々と浮かび上がってくる課題や問題を
うまくコントロールしながら、ホテル業界の頂点に
無事上り詰めることができるのか?

ワンマン経営の企業だけに、代表の手腕にすべてが
託されているといっても過言ではないでしょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 編集後記: 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本が売れない時代に重版のお知らせをいただけると、
本当に心から嬉しくなりますね。

重版率が1割とか2割とか言われている時代なので、
重版になると編集者の方にようやくご恩返しができたと
ホッとします。

ちなみに最新刊の『マンガでやさしくわかるブルー・
オーシャン戦略』はまだ重版がかかっていません。(^^;

手前味噌になりますが、コトラーに負けず劣らず
自信作になりますので、
よろしかったらお読みいただけると幸いです。

こんな本です⇒ http://amzn.to/2eElcH8

よろしくお願い致します。m(_ _)m


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今回も26,298人の方にご参加いただきました!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
 m(_ _)m

今回の1日3分MBA講座はいかがだったでしょうか?

ご意見やご要望があれば下記のフォームから
お気軽にお寄せ下さいませ!
(このメールへ返信しても届きませんのでご注意!)

→ http://www.mbasolution.com/contact.htm


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それでは、また次回あなたにお会いできるのを
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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』
(ビジプロ通信)

編集長: 安部 徹也

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