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”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2025.2.23 Vol.159
1.「発達」することの意味や価値とは? ・・・「成人発達理論」×「コーチング」プログラムの作り方、お見せします:その3
前回のメルマガの最後で、
【「発達を遂げることに意味や価値があるかどうか」は一概には論じられないが、どの視点においてどのように焦点を絞れば「発達を遂げることに意味や価値がある」と言えるのか】
という問いかけをさせていただきました。
今回はその問いを受けて
1)哲学的見地
2)宇宙の進化や超越的存在の見地
この二つの見地から考えてみたいと思います。
1) 哲学的見地 ― 発達の存在そのものを疑う
この問題を解明するには、哲学の基本的な問いである「存在論」と「認識論」を考慮する必要があります。
・存在論 … 何が存在しているのか?その存在は絶対的なものか?
・認識論 … 私たちの認識はどのように形成されるのか?
この二つは、それぞれ独立した問いのように見えますが、実際には密接に関係しています。たとえば、「私たちは何かが存在しているとどうやって確信できるのか?」という問いは、単なる認識の問題なのか、それとも存在そのものの問題なのかという点で議論が分かれます。
映画『マトリックス』を例にとって考えてみましょう。
「私たちは、実はマトリックスによって構築された仮想現実に生きていて、電気信号で作られた世界を見せられているだけなのかもしれない」という可能性を完全に否定することはできません。つまり、「私たち自身が本当に存在しているのか?」という疑問を根本的に解決することはできないのです。
この観点に立つとあらゆる存在が本当に存在しているのかどうかも疑わしくなります。「発達という現象」もまた、実在するものなのか証明することは不可能なのです。
ケン・ウィルバーなどをはじめとする多くの発達理論家は、発達という現象を実在するものとして扱っていますが、それが本当に「ある」のかどうかは、究極的には証明できません。
このように哲学的見地から成人発達の価値や意味を見出そうとすると、結論は「わからない」、あるいは「価値や意味があるともないとも証明のしようがない」となるのです。
この前提は、成人発達を語る上では混乱を生むかもしれません。
しかし、この「冷めた(覚めた)目」を持たなければ、成人発達を絶対視してしまう危うさに巻き込まれてしまうでしょう。
2) 宇宙の進化や超越的存在の見地 ― 進化することは自然な営みか?
次に、「宇宙の進化や超越的存在の見地」から発達の意味を考えてみましょう。この視点は、インテグラル理論を提唱するケン・ウィルバーが詳しく論じています。
彼は、発達という現象そのものを宇宙の進化の一部として組み込まれた構造と考えています。確かに、宇宙全体の進化や地球上の生命の進化に「進化する」という構造が存在する以上、人間にもその構造が自然に組み込まれていると考えるのは不思議ではありません。
ウィルバーによれば、人間の発達は次のような段階を経て進んでいくとされます。
・ボディ(身体) → 赤ちゃんの時期。身体的な欲求が全てを支配する。
・マインド(知性) → 言語や論理的思考が発達し、因果関係を理解する。
・ソウル(魂) → 唯一無二の存在としての自己を自覚し、個性を表現する。
・スピリット(超越) → 自己という存在を超え、普遍的なものへと意識が向かう。
この流れは、まるで人類が進化してきた歴史の縮図のようです。
もちろん、すべての人がこの道を同じように辿るわけではありませんし、どこまで進むかは個人の生き方次第です。
しかし、私たちは「発達する」という大きな営みの一部として生きていることは確かです。
もしこの考えが正しければ、「発達することに意味があるのか?」という問い自体が無意味になります。
なぜなら、発達は考えるものではなく、「もともとそうなっているもの」だからです。
たとえば、生物にとって呼吸をすることは当たり前です。
「なぜ呼吸するのか?」と問われても、「生きるため」としか答えようがありません。
発達も同じように、「なぜ発達するのか?」と問うことに、あまり意味がないのかもしれません。
ただし、呼吸の仕組みや役割について科学的に説明できるように、発達も特定の視点から説明することは可能です。
しかし、それが「絶対的な意味や価値を持つものなのか?」という問いに対しては、確信を持って答えることが難しいのです。
だからこそ、宇宙の進化や超越的存在の視点に立つことで、私たちは発達という現象をより大きな枠組みで捉えることができるのかもしれません。
今回お伝えした内容をまとめてみます。
哲学的見地から見れば、「発達は本当に存在するのか?」という問いに答えを出すことはできません。それは私たちの認識に過ぎないかもしれず、存在の根拠自体が揺らいでしまうからです。
一方で、宇宙の進化や超越的存在の見地に立てば、発達はまるで宇宙の法則のように組み込まれたものだとも考えられます。そうであれば、発達を遂げることに意味を求めること自体が不要なのかもしれません。
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【未来からの問い Vol.159 】
発達を遂げることに、あなた自身はどんな価値を感じますか?
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参加費:58,300円(税込)
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を活用したプロセスコンサルテーションによって「ソーシャル
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