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"ビジョン・プロセシング"マガジン『未来からの問い』
【未来からの問い】「計画」と「偶発」の両立に迫るSOUNDカード〜笠松拓也さんの場合(事例紹介)〜
  発行日: 2024年10月20日
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”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━    2024.10.20  Vol.153


1.「計画」と「偶発」の両立に迫るSOUNDカード〜笠松拓也さんの場合(事例紹介)〜

自己組織化チーミング技法「SOUNDメソッド(R)」のベースとなる考え方と、SOUNDカードを用いたファシリテーションを実践形式で学ぶことができる「SOUNDコーチ養成講座 初級編」。今回は講座卒業生の活用事例紹介をお送りします。
卒業生である笠松拓也さんは、様々な組織づくりにファシリテーターとして伴走支援をされています。組織作りの場面において、SOUNDカードの何が果たして有効なのか?
キーワードは「共通認識と構造理解」。ぜひご一読ください。

SOUNDカードの詳しいご紹介はこちらのHPをご覧ください。
https://www.soundmethod.jp/

【インタビューのポイント】
SOUNDカードを使った組織開発の有効性について株式会社Yurusy 代表取締役の笠松拓也さんに語っていただきました。SOUNDカードを使うことで、特別な機会に限らず普段の業務の場面においても、支援先の社員たちが自主的なファシリテーションや深い対話が可能になったといいます。

また、SOUNDのステップの中でも「Understand」で構造理解を深めることが組織の問題解決に役立つだろうという点と、カードの偶発性を活かすことで課題解決や新しい未来を見い出す手法として活用できる点を評価されています。詳しくは以下をご確認ください。


【前提や目的を明確にしたうえでセッションに臨む】

―どのようなきっかけで、SOUNDカードやSOUNDメソッドをお知りになりましたか?

2016年の独立当初は、採用を中心とした人事コンサルタントとして活動していました。その領域だけでなく組織開発についての理論を学ぶうちに、中土井さんが紹介されているU理論に出合いました。人や組織はUの字を描くように変容するのだということを、その実践や勘所を完璧に理解していたわけではないですが、そうした枠組みでとらえることが大切だと考えていました。それから、中土井さんが「SOUNDコーチ養成講座初級編」を開いていることを知って、カードを使った組織開発の手法を学べるのは面白そうだと感じたのが、講座に参加するきっかけでした。


―SOUNDカードを知る前に、仕事上で課題に感じていたことは何でしたか?

私もコンサルタントとして、研修やワークショップを企画・開催していたのですが、そうした場は、どうしても日常の業務から切り離された非日常の場となります。そうではなく、職場内で社員それぞれが関わるなかで、社員が自主的にファシリテーターとしての役割を担ったり、何かツールを媒介にして社員の関係を深めたりできるようなアプローチ方法はないだろうかと、常に考えていました。特にゲーム性のあるものですよね。ボードゲームでの課題の掘り下げや、レゴシリアスプレイなど、元々それらに関心を持っていた中で、SOUNDカードがたまたまヒットしたという感じでしょうか。


―実際にSOUNDカードを使ってみて、いかがでしたか?

まず講座を受けたときは、シンプルに「面白い」と感じました。問いを生成していくプロセスと、そこに向き合っていくプロセスを、カードを使って進行されるのが非常に滑らかで、楽しく参加できました。ただ、講座に参加する人は、もともと組織内で話し合いの場を設けたいと考えている方たちばかりで、そうした前提があるから機能しているのではないか、という懸念もありました。例えば、このままクライアントに持ち込んでも、興味を持ってもらえるのか、話し合いができるのか、という点ですよね。

でも、実際にやってみると、丁寧に導入をすることで初めての方でも興味を持って、ゲーム感覚で楽しんでもらえたので、あまり心配はいりませんでした。「普段、こうした話ができなかったよね」「今まで出てこなかった気づきがあったよね」などと感じて頂けたようで、どんな人でも土俵に乗ってしまえば、ワークしていくものなんだと感じました。


―土俵に乗ってもらうというのは一つのポイントだと思いますが、参加者に乗ってもらうために必要なことはありますか?

そもそもこうした話し合いやワークショップなどで、大切なのは、前提や認識の共有ではないでしょうか。当たり前のことかもしれませんが、組織が今抱えている課題や、今なぜこの関係者で話さなければならないのかといった前提が一番の肝であり、そうした共通認識があってこそSOUNDカードなどのツールが生きるのだと思います。最初にしっかり意図や目的を参加者に伝えることが大切でしょう。

ですから、ある程度の課題感や、今解くべき問いがメンバーの中で収斂している場合は、カードを使わないことの方が多くなりますね。みんなで、一つの課題に向き合っていこうとしているときとか、本当に価値のある問いを探索しながら共通認識を積み上げていくようなときこそ、こうしたカードが有効だと思います。一気に大人数を巻き込んでいけますし、組織の問題意識や気持ちを共有していきやすいのではないでしょうか。それほど多く使っているわけではないので、これはまだ仮説でしかありませんが、今後、試して検証してみようと思っています。



【構造理解を深めることを意識】

―実際にSOUNDカードを使うときは、どのように使っていますか?主に実践されているステップなどあれば、教えてください。

基本的には、マニュアル通りにStatusから順番にやっています。これまでにカードを使ったのは、経営チームの組成とプロジェクトチームのキックオフのタイミングで、StatusからDriveまで5つのステップを順番にフルでやってみました。プロジェクトのキックオフ時には、既にチームが目指すべき大きなOutcomeは示されていても、実際には個々が持つ文脈や、メンバー同士の関係性は織り込まれていないと思うんです。そこで、メンバーでゴールに向き合い、Outcomeを生成し直すというのがキックオフという場になる。そういう作業をするにあたって、SOUNDカードを使ってみると、チームがスムーズに立ち上がっていくというのが、これまでやってみた感触です。

カードの使い方にはいろいろな方法があるのでしょうが、ファシリテーターとして一連のステップの中で最も重視しているのは、Understandの構造理解の部分です。ここを一番厚めにして、何度も巻き直しながら理解を深めていくのが大切だと思っています。最後のDriveのステップまでやり切って具体的なアクションを設定することも大切ですが、Driveが目的ではなくて、むしろUnderstandのステップで、みんなで構造理解を深めていくことに重心を置くべきだろうなと意識しているのが現状です。


―クライアントの課題解決にカードを使っているとのことですが、相手からはどのような反応がありますか?

コミュケーションツールに対する関心の高いクライアントだったのですが、「シンプルな構成だけど、普段話せないことが話せた」「一度だけでなく、定点観測として現時点のチームがどのような状態なのかを、その都度確認するのに使える」といった声があったのが印象的でした。課題を設定するうえでも、組織の中の関係が今どうなっているのかをあぶり出すのに活用できるという意味で、サーベイに近い使い方もできるのではないか考えています。


―笠松さんから見たSOUNDカードの特徴について教えてください。

さまざまな特徴があると思うのですが、特に一つ挙げるとすれば、セッションの場を用意して、その場に集まる意味や、なぜこのメンバーで話すのかという目的さえセットできたら、後はカードが今の組織にとって最適な未来に必ず導いてくれるというところが、SOUNDカードの本質的な価値だと思います。たとえファシリテーターが介在してなかったとしても、その場に参加している人たちにとって、今最適な未来が必ず現れてくるツールとなっているという点が非常に特徴的だと思います。


―私たちのSOUNDコーチ養成講座の中でお伝えしている「波乗り状態」、つまり最適な波に乗ってる状態が立ち現れてくるということでしょうか?

まさにおっしゃる通りですね。背景理論は講座の中で説明されていますが、その効果をまさに体感できる。だからこそ、テーマが明確になった状態でカードを使うのはもったいないような気がします。「SOUNDカードを使うことで、こんな結果が得られるだろう」とか、「困難な課題に向き合うために、セッションをやるんだ」といった先入観や期待のようなものに囚われるのは一旦やめて、「なぜ、自分たちが話し合うのか」という最低限のセッティングがある状態で集まる。そうした状況こそ、カードのポテンシャルが最も発揮できるのではないでしょうか。あれだけの多彩な問いが用意され、偶発性もある設計になっているので、その価値を最大化できるシチュエーションで臨みたいと考えています。



【話し合いから偶発的に生まれるものを大切にしたい】

―「その場に参加している人たちにとって、今最適な未来が必ず現れてくる」というお話がありましたが、笠松さんにとって大事なキーワードが含まれているように感じました。

ファシリテーションの役目を担うとき、計画性と偶発性の両方を大切にしながらプロセスをリードしていくことが重要だと思っています。私は普段、組織におけるさまざまな課題に向き合っていますが、そうした課題はしだいに複雑性が増していくもので、一朝一夕で解決できるものではありません。課題に対し、何か明確な要件定義をして、あとは着々と作業を遂行していけば解決するという技術的な課題では決してない。刻々と状況が変わり、それに関わる人次第で課題の質も変容し続けるような、まるで生命体のようなものです。

そうした課題に向き合うとき、人の理性で把握できる計画性を放棄するわけではありませんが、それよりも、その都度偶発的に生成されていくものをどれだけキャッチアップしていくかが大切だと思います。そして、その情報を汲み取りながら、それが意味するところを理解し、課題をみんなで共有し、より良い方向に軌道修正していく。この巻き直していくプロセスをいかに丁寧に行っていけるかが、複雑性の高い組織課題を解決するうえで重要になります。そういう観点で、偶発的にその場から生成されるものが、組織にとって最適な未来につながっていくのだと思っています。

―人と人とが関わる中で生まれてくるものや、人と人とが関わることでしか生み出せないことを引き出していくことに、ファシリテーターとして向き合っていらっしゃるように感じます。

人には一人一人、仕事や暮らしを含めた日々の営みがあって、それがより良くなっていっている、自分としてうまく回っているという実感があれば、その人は希望を持って生活できるし、日々を生き抜くエネルギーになると思います。大きなプロジェクトに参加したり、組織や会社に向き合っていたりすると、どうしても事業とか組織とかチームとか社会とか、大きな主語で物事を考えがちになってしまう。もちろん、目の前にある課題を解決するのは大切ですが、それを解決するのは一人一人の力であって、その人たちにとって「日々の営み自体がより良くなっているなあ」とか「自分自身にとってもいい感じになっているなあ」といった感情を織り込んでいかないと、人は動けなくなってしまいますし、課題も解決できないと思うんです。

だからこそ、あらゆる働くプロセスにおいて、一人一人の日々の営みがより良くなるのかどうか、という眼差しを大事にしたい。その点、SOUNDカードには、個人としての解であったり、気持ちであったり、衝動といったものがきちんと発露される仕掛けが施されています。そういった個人の内側にあるものが発露されることで、その人の営みも良くなると私は思っているので、私自身が大切にしたいことと、SOUNDカードは非常に親和性が高いという印象があります。


―今後、SOUNDカードやSOUNDメソッドを使っていくにあたって、「このような使い方があるのではないか」などと考えていることはありますか?

100人くらいの大人数、例えばワンテーブル5人で20テーブルぐらいといった大規模なセッションを一度やってみたいと思っています。それで各チームのセッションをまとめたときに、会社の全貌がわかるようになれば、興味深いですよね。全社的な組織開発という観点で、一気に会社全体を巻き込んだ場づくりができたら、SOUNDカードの力やインパクトを感じられるような気がします。

SOUNDカードは、ファシリテーターがいなくても場が作られていくということに基本的な価値があるので、大きな集団に対しても課題解決のツールとして使えたら、そこに大きなロマンがあるような気がします。ぜひチャンスがあればやってみたいと思います。
―最後に、これからSOUNDカードに触れる人や、SOUNDカードを知っているけれど活用方法が思い浮かばないという人に対して、何かアドバイスがあればお願いします。

SOUNDカードの価値を正しく伝えようとか、背景にある理論をしっかり伝えようといったことをあまり考えない方が良いと思います。そうしたことは、実は実際のセッションではあまり重要ではなくて、伝えるべきは体験者として自分がどのような価値を感じているのか、自分の主観的な体験談や評価している点などだと思います。さらに重要なのは、なぜ、自分が参加者と話をしたいのか、今何を話したいのかということを分かち合うということです。SOUNDカードを通じて自分が体験した良さを信じて、相手に「一緒にやってみよう」と呼びかける。そして、それに乗ってもらえたら、自分と同じ良さではないかもしれないけれど、相手も自分なりの良さを感じてくれるはずです。そこは間違いないので、SOUNDカードの力を信頼し、一歩踏み出して働きかけていただきたいと思います。



笠松さんが活用中のSOUNDカード、そしてそのバックボーンとなっているSOUNDメソッドについて学べる「SOUNDコーチ養成講座初級編」。次回は11月9日(土)<満員御礼>、続いて1月25日(土)の開催です。SOUNDメソッドの本質的な価値やミーティングファシリテーションのマインドセットを掴んでいただきます。加えて、チームマネジメントやチームミーティングに応用できる具体的なノウハウもお伝えしていきます。
https://tinyurl.com/23pbunf9



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2.セミナー・ワークショップ情報

■【法人向け連続セミナー】
環境や課題が複雑になっていく状況下でも、迷わず意思決定をすることは可能なのでしょうか? 「U理論」とは、過去の延長線上ではない意識変容・行動変容やイノベーションを、個人やチーム、組織、そして社会で起こすための原理と実践を示した理論です。本連続セミナーでは、「U理論は仕事・生活に具体的にどのように役立てられるのか?」という視点をお届けします。

━【理論編】第5回 U理論と成人発達理論
日 程:2024年11月26日[火] 16:30〜18:00
会 場:ZOOMにてオンライン開催
参加費:無料
<詳細・お申し込み>
http://ptix.at/Wux72U



■リーダーシップ・シフトプログラム  エントリーコース
U理論に基づき、私たちが無自覚のうちに陥っている意思決定のパターンに目を向け、仕事やプライベートに活かせる問題解決法をご紹介します。

日 程:2024年11月6日[水] 19:00〜21:30
会 場:ZOOMにてオンライン開催
参加費:3,300円(税込)
<詳細・お申し込み>
https://peatix.com/event/4112378

日 程:2024年12月4日[水] 19:00〜21:30
会 場:トラスティ六本木ビル
参加費:3,300円(税込)
<詳細・お申し込み>
https://peatix.com/event/4137334



■リーダーシップ・シフトプログラム  ベーシックコース
自分自身と周囲の「自分らしさ」を解放することで、その人の強みが十分に発揮される状態を創り、一人一人と場の進化をもたらし続ける全く新しいテクノロジーをご提供いたします。

━45期日程:2024年12月14日[土]〜12月15日[日]
    1日目9:50〜19:30
    2日目9:00〜19:00
会 場:KFC Hall&Rooms(両国)
参加費:132,550円(税込)
(2024/11/14まで早割価格)104,500円(税込)
<詳細・お申し込み>
https://peatix.com/event/3835798



■自己組織化チーミング手法「SOUNDメソッド」SOUNDコーチ養成講座 初級編
「SOUNDカード」を活用した対話の場づくりを体験し、変化が激しく先行き不透明な状況下でもチームメンバーが目的や意義を共有・合意し、チームとして共進化(Co-Evolve)していくことを可能にしていきます。

━18期日程 :2025年1月25日[土] 10:00〜18:30
会 場:KFC Hall&Rooms(両国)
参加費:58,300円(税込)
<詳細・お申し込み>
https://peatix.com/event/4075720


━━━━━━━━━━<発行者情報>━━━━━━━━━━━
”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』
●発行責任者:山根 恭子
●発行元:オーセンティックワークス株式会社
●事業内容:組織進化コンサルティング
 オーセンティックワークスは、社会変容テクノロジー「U理論」
 を活用したプロセスコンサルテーションによって「ソーシャル
 フィールド(社会的な場)」を転換し、他責・対立・迷走等、閉塞
 感のある組織を創発的な組織へと進化させます。
●URL:http://www.authentic-a.com/
●お問い合わせ:
  aw-office@authentic-a.com
●バックナンバー:
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