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"ビジョン・プロセシング"マガジン『未来からの問い』
  発行日: xxxx年xx月xx日
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”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』

━━━━━━━━━    2023.5.14  Vol.129


1.会議革命をつくろうー会議の価値とはー

みなさんは、「会議」にどのようなイメージ
を持っていますか?
日本の会議は生産性が低い、とはよく言われ
ますが、ファシリテーターとしてご支援させ
ていただくと、もはや生産性が低いどころで
はないと感じる場面に直面することが多々あ
ります。
「僭越ながら、その話をしたところで一体何
になるのですか?」と申し上げたことは一度
や二度ではありません。
本当は5分、10分で決まるであろう話を何年
間も繰り返している。大袈裟に聞こえるかも
しれませんが、そのような例をいくつも見て
きました。
そしてそれは、多くの方が社名をご存じであ
ろう大企業であっても同じように起こるので
す。

この状況は、単に生産性が低いというだけで
は説明できないと思います。いったいそこに
は何があるのでしょうか。

まずは、どのような問題症状が起こっている
のか。よくある会議の風景から考えていきま
しょう。

1)会議に見られがちな症状
・発言者が偏っている
「声の大きな人の意見が良く通る」とはよく
言われますが、毎回の会議で「いつも同じ人
が喋っている」ということはないでしょうか。

・同じ話題が繰り返される
かれこれ5年前からこの話をしている、とい
うように、同じ話が何度も繰り返されている
か、もしくは、堂々巡りをしているという状
況です。

・結論が出ない
結局ただ話し合いをしただけで、次のアクシ
ョンには繋がっておらず、何が決まったのか
もうやむやになって毎回の会議が終わるパタ
ーンです。

・担当決めの段階になると沈黙する
個人的には、こういった場面で毎回耐え難い
苛立ちを覚えます。そして、決まらないとこ
ろから「今じゃないよね」という雰囲気が充
満し、よくわからないまま先延ばし…という
ことが起こり得ます。

・脱線する
話の最中の「あ、そういえば」の一言から始
まって、元々の話題から逸れていく。そして
脱線話の方が盛り上がった結果、それまで議
論していた内容について「やっぱり”今”じゃ
ないのでは?」と結論がひっくり返る。
時には、梯子を外されるといったこともある
と思います。

まさに「こんな会議は嫌だ」というシーンが
勢揃い… といった様相です。
「会議」と指してはいますが、会社組織にお
ける「会議」と名のつく場に限らず、様々な
話し合いの場面において起こり得る症状です。
そして、残念ながら本当に多くの会社組織で
こういった症状が蔓延しているのを見てきま
した。

これらの症状を取り除くことは可能なのでし
ょうか?
その検証のためにも、皆さんと考えてみたい
問いがあります。

『会議が生み出すべき価値とは、
本来どのようなものなのでしょうか?』


2)会議が生み出すべき本来の価値とは
会議が生み出すべき本来の価値とは?と訊か
れて、すぐ明確に答えられる人は少ないので
はないでしょうか。
今回ご紹介するのはあくまで私なりの考えで
はありますが、一つの見方として捉えていた
だければと思います。
シンプルにまとめると、以下の4点を可能に
することだと考えます。

・話し合って
・決めて
・行動に違いを作って
・結果に違いを作る


集団でする、という観点に着目すると、まず
「話し合って」「決める」ことがポイントで
す。話し合う必要がないことなのであれば、
それは担当者独りで進めればよいだけの話で
あり、集団で取り組むべき課題であるからこ
そ、会議を開いて進める必要があるのです。
「行動に違いを作って」とは、会議のビフォ
ー・アフターを比較して、会議を経てどんな
変化が生まれたのか?ということです。
そして最後の「結果に違いを作る」。ここで
「結果を出す」とは敢えて表現しません。
複雑性が増す環境下において、結果を出した
からと言ってその先の未来に繋がっているの
か保障はなく、むしろ結果を出したことの副
作用が生まれたり、余計なことをしていると
いう事にもなりかねません。そのため、今ま
でと違う結果が生まれているか?という観点
の方がより現代に相応しいのはないかと考え
ているからです。

さて、この4点の深掘りを通して、会議の価
値について考えてまいりましょう。

1)「話し合って」→文脈形成
文脈形成とは、話し合ったメンバーの中で
「何が当たり前になっているか?」という事
です。
「こういうことだよね感」が、どれだけメン
バーの中に生まれているか。この感覚がない
と、会議終了後に結論が出たとしても「全然
腹落ちしてないんだよね」のような感覚が残り、
結果的に3つ目の「行動に違いを作る」こと
に繋がらなくなります。それは、面従腹背と
も言いますが、とりあえず表面的には「そう
ですね。わかりました」と言いつつも、全然
何もやってくれない…ということです。
そのため、文脈が揃っているか、すなわち
「私たちにとってこういうことだよね、そう
そう」感が会議のビフォー・アフターで高ま
っているかどうかが、まず1つ目のポイント
になります。

2)「決める」→合意形成
前提として、文脈形成があって成り立つもの
ですが、それが何であれ”何か決めている”状
態です。
全員が”納得している”状態にしなければなら
ない、ということではありません。
少なくともこの結論で行こう、ということに
「そうですね」と承諾しているかどうかがポ
イントであり、その場にいる全員が意図して
最終意思決定者に権限を委譲しているのであ
れば、意思決定者の一存で決める、というこ
とでも構わないのです。
一方で「鶴の一声」とも言われる状態は、意
思決定者のワンマン、トップダウンで決まっ
たものの、結論に至るまでの合意が形成され
ていない状態であると言えます。
きちんと文脈形成が為され、そして合意形成
されていくことが重要です。

3)「行動に違いを作って」→行動変容
決められたことが実行されることで、会議の
ビフォー・アフターで行動変容が生まれてい
るかどうかが重要なポイントです。
また、この行動変容のフェーズでは、時には
外的環境だけではなく、人々の内面、例えば
感情や信念、価値観などが影響を及ぼして、
うまく行動に移せないという場合もあります。
そのため、行動の妨げになっているものがあ
る場合は、それを扱うことも必要になるかも
しれません。

4)「結果を作る」→変革実現
変革と言っても、大きな変革である必要はあ
りません。
ルール決めなどの小さな変革実現が着実に積
み重なっていくことで、時間と共に少しずつ
変化が形作られていく。そのような変革を実
現していくことが重要だと考えます。

いかがでしたでしょうか。
加えて、自分たちの会議を振り返るために、
最適な会議の評価方法について考えることが
重要だと思います。
会議が終了した後に、文脈形成、合意形成、
行動変容、そして変革の実現に向けた進展が
あったかどうかを
【はい/どちらでもない/いいえ】
の三択で確認する。もしこれらのすべてが達
成されていなかった場合、その会議は何も意
味を持たなかったと言えるかもしれません。
改善のためには、どの点で工夫が必要かを見
極めることが重要です。
ただし、行動変容や変革実現は、会議の数日
後や数ヶ月後、さらには数年後になって初め
て測定できるものです。
したがって、簡単な評価方法としては、会議
後に参加者が
「この会議を受けて行動変容が生まれそうだ」
「変革が実現しそうだ」と感じるかどうかを
聞いてみることができます。
評価の結果、もし全員が【どちらでもない】
や【いいえ】と答えた場合、何らかの見直し
や改善が必要になる可能性が高いです。
また、ビフォーアフターでの違いを意識する
ことも重要です。会議参加者が違いを意識し
ていない場合、問題症状は容易に再現されます。
ただし、問題を指摘するだけでなく、自分た
ちは何を作り出すのかを意識することが重要
です。でなければ、それは批判的評論家を増
やすだけになってしまうからです。



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 【未来からの問い Vol.129】           
                   
 あなたの会議から
 生まれ出ようとしているものは何ですか?
                   
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

次は会議の問題症状を生み出す構造について、
皆さんと一緒に考えて参りたいと思います。

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━━━━━━<発行者情報>━━━━━━━
”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』
●発行責任者:山根 恭子
●発行元:オーセンティックワークス株式会社
●事業内容:組織進化コンサルティング
 オーセンティックワークスは、社会変容テ
 クノロジー「U理論」を活用したプロセス
 コンサルテーションによって「ソーシャル
 フィールド(社会的な場)」を転換し、他責
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