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"ビジョン・プロセシング"マガジン『未来からの問い』
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 組織進化"刺激"マガジン『未来からの問い』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    2022.9.25  Vol.118

1.インテグラル理論の四象限を組織開発で活用する難しさとは?
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前号のメルマガでは、インテグラル理論を題材に、新しい理論を組織に導入・
展開していくときの説明のポイントについてご紹介しました。
今回は、その続編として、インテグラル理論のAQAL(全象限・全レベル)と呼
ばれるもののうち、前号でも取り上げた「四象限」に焦点を当て、組織開発の
実践にどう組み込んでいくのかについてご紹介します。

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◆目次
(1)組織開発上での活用に立ちはだかる「5つの壁」
(2)「四象限」で表現されていること
(3)「四象限の壁」が本当に指し示していること
(4)組織開発における「四象限」の本質的な活用方法
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(1)組織開発上での活用に立ちはだかる「5つの壁」
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四象限について企業で説明する場合の一例を前号でも挙げていますが、説明の
結果、見られがちな反応は「だから、何?」というものです。四象限は変革を
デザインし展開していく上で非常に役立つのですが、一方で使いこなすのがと
ても難しいものでもあります。

四象限は私たちの目の前で繰り広げられている、ありとあらゆる事象を4つの
象限から捉えられるようにしており、ケン・ウィルバー自身もインテグラル理
論を「万物の理論」と呼んでいるように、全てを包摂するものとして提示して
います。
しかし、この四象限について、MECE(モレなくダブりなく)になっている
ことは理解できるものの「全てを包摂するもの」ということが『いまいちピン
とこない』感覚がつきまといやすいようです。
その主な理由は以下の5つの壁が立ちはだかることにあるのではないかと思い
ます。

壁1:四象限のそれぞれが、そもそも何を意味しているのかわかりづらい

壁2:各象限の差異を定義することの価値がわかりづらい

壁3:四象限にあてはめて分析することで何が価値として得られるのかわから
ない

壁4:四象限の「全てに重きをおくこと」の価値がわかりづらい

壁5:「四象限はシステムとしてつながっており、相互に影響し合っている
」ということの『重さ』が実感しづらい

壁1については書籍を熟読したり説明を聴くことでそれなりにクリアできるもの
なので、ここでは省略します。
そして壁2から5は独立して記載していますが、実際には壁5が根本原因となっ
て壁4が引き起こされ、そして壁2・3が生じている、といえます。
今回は壁4と壁5に着目して、できるだけ簡略化してお伝えしていきます。

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(2)「四象限」で表現されていること
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インテグラル理論では、この四象限で以下のことを表現しようとしています。

A.全ての事象はいずれの象限からでも描写することができる

B.4つの象限はお互いに影響しあっている

C.四象限の全てに着目することでよりインテグラル(≒統合的)なアプローチ
を可能にできる。

Aについては、例えば、「とある会社の離職率」について次のように捉えるこ
とができます。

・左上象限「内面・個人」
離職率が高まり続けている背景には、新卒5年目の社員・Aさんの中で「この
会社ではやりたいことをやらせてもらえず、ルーティンワークばかりでこの先
のキャリアに不安がある。会社の辞め時を考えないとな…」という気持ちがあ


・右上象限「外的・個人」
離職者傾向は20代後半から30代前半の社員が多い

・左下象限「内面・集団(文化的)」
離職率が高まっている背景には、会社の文化として創業社長のトップダウンで
物事が決まることへの「結局は社長が決めるんだよね」という諦めや、「管理
職は上を見て仕事をする」という傾向があることにある

・右下象限「外的・集団(文化的)」
離職率が高まっている背景には、ビジネスモデルとして在庫を抱える店舗経営
をベースにしているため、Amazonのようなネットビジネスに凌駕され、業績が
上げづらくなっていることがある。

このように四象限の観点から捉えることで「まさに複眼的に物事を捉えられそ
うだ」と感じられるのではないでしょうか。実際に、自社の組織課題について
四象限の観点からの分析を複数人数で行うことで、情報収集できる幅を拡げる
こと自体は可能になります。
ただ、ここで壁が立ちはだかります。
それは、四象限の観点からの分析によってそれぞれの捉え方や情報は棚卸され
るものの、「へー。そういうことが起きているんだね」とか、「それは面白い
見方だね」という感覚どまりになってしまうことが多いのです。
これが、壁2から4になります。
そこには、インテグラル理論が表現しようとしているもう一つの側面である
「B.4つの象限はお互いに影響しあっている」
の理解が難しいことが背景にあります。
シンプルに左側象限と右側象限で二分して、このことを説明していきます。

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(3)「四象限の壁」が本当に指し示していること
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左側象限は内面的で「目に見えない世界」、右側象限は外面的で「目に見える
世界」になります。結局のところ、四象限の壁は、次の相関関係について、人
は微弱にしか実感できないことに起因しています。

・人の内面にある「目に見えない世界」は、外側にある「目に見える世界」に
影響を与える
・外側にある「目に見える世界」は、人の内面にある「目に見えない世界」に
影響を与える

例えば「社員のモチベーション(内面)が上がらなければ、会社に変化は起き
ず業績(外面)も上がらない」というのは、比較的わかりやすい因果関係であ
ると思います。
しかし、「社員のモチベーションは気分として上下するものであり、一人一人
のモチベーションが上がったところで、巨大組織の中では誤差に過ぎない」と
いう感覚にもなりやすくなります。

また逆に、「株価が下がったり企業買収されたりする(外面)と、社員は不安
になりモチベーション(内面)が下がる」ことは理解はできていたとしても、
「自分の財布から一万円札が目の前で抜き取られるほどの痛み」のようには実
感できないのです。

この相関関係の弱い感覚が、左側象限と右側象限に分けて物事を捉えることの
価値を感じさせづらくするのです。
左側象限と右側象限で二分されたものですら実感が乏しいのですから、まして
や四象限ともなれば…ということです。

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(4)組織開発における「四象限」の本質的な活用方法
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では組織開発における四象限を使う価値とは一体どこにあるのでしょうか?
それは、逆説的ではありますが、
「壁5:四象限はシステムとして繋がっており、相互に影響しあっているとい
うことの「重さ」を実感しづらい」
を超えていくことにあります。
あらゆる変革が成功しなかったり、成功したとしても副作用を起こしてしまう
のは、この四象限の構成要素の捉え方に偏りがあったり、それぞれの相互影響
を軽んじてしまう、もしくは見えていないことに起因しているためです。

従って組織開発における四象限の活用の価値とは、
・状況の捉え方に対する視点の偏りに気づく
・各象限の中に存在している様々な要素が相互につながっていることに気づく
この2つを促すことにあります。
先ほどの「離職率」の例を取り上げて、具体的に見ていきます。

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1)社長が創業期から社長兼オーナーであり、最終意思決定者としての権限を
担っている(右下象限)

2)創業期の零細企業時代から社長のトップダウンによって物事が決まってき
ていたため、「最後は社長が決める」という暗黙の了解が生まれている(左下
象限)

3)そうした役員以下全員の「殿の仰せの通りに・・・」という考え抜かない
姿勢に苛立ちを感じ、「最終意思決定者である俺が何とかするしかない」とい
うプレッシャーが社長の中で沸き上がる(左上象限)

4)プレッシャーを抱えた社長は代表取締役という肩書によって他社の社長や
有識者との人脈を広げ、質の良いディスカッションを行う(右上象限)

5)質の良いディスカッションによって鍛えられた社長の視座と役員以下の視
座の差は開き、ますます社長に議論で勝てる人はいなくなる。社長は役員以下
の視座の低い議論に耐え切れなくなり、業を煮やしてトップダウンで物事を決
める (右下象限)

6)「業を煮やしたトップダウン」が繰り返されることで、ますます「最後は
社長が決める」という暗黙の了解が強化される(左下象限)

7)好きにやらせてもらえず社長の言いなりの雰囲気に嫌気がさして「この会
社は面白くないな・・・」と思う社員が生まれる(左上象限)

8)優秀な人が会社を辞めるようになる(右上象限)

9)優秀な人材から辞めていくことで組織全体として新しいものを生み出せな
くなる(右下象限)

10)「この会社は優秀な人から辞めていくし、やばいよね」という噂話が広
がり、沈滞ムードが広がる(左下象限)

11)沈滞ムードによって、個々人の中で「この会社には先がない。自分の身
の振り方を考えないと」という思いが生まれる(左上象限)

12)離職率が上がり始める(右上象限)

13)ネット通販の競合会社の隆盛により、構造的にも売り上げを上げづらく
なる(右下象限)

14)ネット通販の競合会社の隆盛と目に見えて上がっていく離職率の数値に
より、ますます「この会社はやばいよね」という雰囲気が広がる(左下象限)

15)その沈滞ムードの中で当事者意識のない社長の中で「どいつもこいつも
自分のことばかり考えやがって!」と怒りと焦りが生まれる

6)に戻り、以降繰り返していく
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このように事象の一つ一つを四象限で細かくおさえた上で、そのつながりを丁
寧に追っていくことで、四象限で捉えることの価値が見えてきます。
このつながりがシステム(≒系)として見えており、ありありと自分達がはま
り込んでいる状況を実感できる状態が、U理論でいうレベル3「センシング」
になります。
つまり、自社の組織課題について四象限の観点からの分析を複数人数で行うだ
けでは、U理論でいうレベル2「観る」にとどまり、実質的な変化が生まれな
いのです。
四象限をシステムとして捉え、
「〇〇が起きるということは××になって、××ということは、△△になって
・・・」
と丁寧にそのつながりを追うことでレベル3「センシング」に集団でたどり着
きやすくなります。

変革の限界は、外側で起きていることに自分が影響を与えていることを実感で
きないことにあります。
内側と外側は実は深く結びついており、それが見えた時に初めて本当の変革が
生まれる。
ここに、組織開発におけるインテグラル理論の四象限の本質的な活用方法があ
ると考えています。



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          【未来からの問い Vol.118 】           

   四つの象限を通してあなたの組織の何を見出したいですか?

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                          中土井 僚

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2.セミナー・ワークショップ情報

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増え続けています。ケースメソッドとは、未経験のテーマや事象に対して理
解・行動を促していくための学習方法。本セミナーでは、「ワークショップ
(質の高い議論)」「座学(知識を効率的に伝える)」の中間に位置するよ
うなケースメソッド手法の活用を紹介します。

日程   :2022年10月7日[金]13:00〜15:00
会場   :ZOOMにてオンライン開催
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いる、社内の出来事を「自分ごと」として捉えない人が最近特に増えているよ
うに感じる・・・そんなお悩みはありませんか?
チームにまつわるパラダイムシフトとしての「チーミング」について、そして
自己組織化チーミング手法「SOUNDメソッド」とその組織実践の具体的な事
例をご紹介いたします。

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会場   :ZOOMにてオンライン開催
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会場  :ZOOMにてオンライン開催
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日程  :2022年10月22日[土] 19:00〜21:30
http://ptix.at/LkiSDE


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揮される状態を創り、一人一人と場の進化をもたらし続ける全く新しいテクノ
ロジーをご提供いたします。

日程 :2022年10月15日[土]〜10月16日[日]
    1日目9:50〜19:30
    2日目9:30〜19:00
会場  :両国KFC Hall&Rooms
参加費:(通常価格)132,500円(税込)

<詳細・お申し込み>
http://ptix.at/BD9FtL



■リーダーシップ・シフトプログラム ベーシックコース33期
日程 :2022年12月10日[土]〜12月11日[日]
    1日目9:50〜19:30
    2日目9:30〜19:00
会場  :両国KFC Hall&Rooms
参加費:(通常価格)132,500円(税込)
      (2022/11/10までの早割価格)102,500円(税込)

<詳細・お申し込み>
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最新情報は、当社サイトの専用ページにて随時更新・発信しています。

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理論と実践について解説した動画コンテンツを提供しています。

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https://www.enfac.co.jp/contents/om/


━━━━━━━━━━━━━━<発行者情報>━━━━━━━━━━━━━━
組織進化"刺激"マガジン『未来からの問い』
●発行責任者:山根 恭子
●発行元:オーセンティックワークス株式会社
●事業内容:組織進化コンサルティング
 オーセンティックワークスは、社会変容テクノロジー「U理論」を活用した
 プロセスコンサルテーションによって「ソーシャルフィールド(社会的な場)」
 を転換し、他責・対立・迷走等、閉塞感のある組織を創発的な組織へと進化
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