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  発行日:xxxx年xx月xx日

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         [タイプラボ・フォントNEWS]
           2005年7月 第19号 
==================================

このメールは、タイプラボのWEBサイトで無料フォントの使用者登録をし
ていただいた方、タイプラボのフォントを購入していただいた方、このメー
ルNEWSの読者登録をされた方、などに配信しております。

毎日毎日よく降るもんですね、雨。さすがに梅雨です。そこもかしこもジト
ジトベタベタして、人間はやる気が失せてしまいがちですが、植物たちは元
気ですね。葉や茎を青々と大きく伸ばしています。いま、水分や栄養を蓄え
ておいて、キビシイ夏を耐え過ごすのでしょうか。

今号は【書体デザイナーに聞いてみました】【セプテンバー等幅をCDでお
届け】【掲示板リニューアルのお知らせ】【新着フォント情報】、そして連
載の【書体の基礎知識】という内容です。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【書体デザイナーに聞いてみました】 欣喜堂 今田欣一さん
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
21世紀を記録するための古くて新しい和字書体・漢字書体を設計され、活字
書体に関する幅広い情報が蓄積されたサイト「欣喜堂★活字書体設計」を運
営されている「欣喜堂」主幹・今田欣一さんにお聞きしました。

●今田さんは、平仮名・片仮名を総称するのに「和字(わじ)」という表記
を提案されていますが。

「仮名」の反対語は「真名」であり、「漢字」に対しては「和字」のほうが
望ましいと考えられます。真仮名や草仮名と明確にわけるということもあっ
て、平仮名・片仮名については「和字」という表記を提案しています。「和
字」は辞書にも載っていることばなので、多くの人に使われることを希望し
ています。

●写研在籍時代の「ボカッシイ」「いまりゅう」「今宋」をはじめ、フォン
トワークスの「はつひやまと」など、そして最近リョービから発売された
「ぽっくる」などを設計されてきたと思うのですが、現在の欣喜堂サイトに
は、これらの書体は掲示されていますか。

掲示しています。リンクのページから見本・説明のページにいくことができ
ます。
「ボカッシイ」「いまりゅう」「今宋」についてですが、石井賞創作タイプ
フェイス・コンテストに応募したのは個人ですが、これを商品として制作し
たのは株式会社写研です。わたしはほかのスタッフと同様に社員として参加
したに過ぎません。ですから、法人としての欣喜堂とはまったく関係のない
ものです。
 また「はつひやまと」などは欣喜堂で制作していますがフォントワークス
に著作財産権を譲渡していますし、「花蓮華」の平仮名・片仮名などは
リョービ・イマジクスからの委託で制作したものです。本来なら、これらの
書体は当社のウェブ・サイトに掲示すべきものではありませんが、記録とし
て残しておくということで、このような扱いにしています。

●今田さんは常に独創的な書体デザインをされていたと思うんですが。

石井賞創作タイプフェイス・コンテストに入賞したものだけしか注目されて
いませんが、じつは本文用の書体も応募しています。これらは力不足で落選
したので、残念ながら日の目をみることはありませんでした。さらには社員
として携わった多くの書体があります。これらもふくめて、海中の氷山もみ
ていただければと思います。
 石井賞創作タイプフェイス・コンテストは商品企画のプレゼンテーション
ではないので、一社員として日常の業務では実現できない発想でという思い
がありましたし、石井賞創作タイプフェイス・コンテスト自体が実験的な場
として存在しているという認識でもありました。入賞したものについては、
さまざまな実験をもりこんで設計できており、その目的は達成されたと思っ
ています。
 実用を度外視した「実験の時代」はすでに終わっています。今は高度成長
期ではありませんし、わたしも20歳代ではありません。齢を重ねて社会的な
役割も違ってきています。20年も前の書体や、自分の過去にとらわれるべき
ではなく、未来に向かって踏みださなければなりません。
 いっぽうで、わたしが「独創的」あるいは「個性的」ということばをもち
いるとき、たとえば他社にもあるような明朝体やゴシック体にこだわって制
作していたり、たんに金属活字への懐古趣味にはしって覆刻(かぶせぼり)
で制作したりという風潮にたいしての警鐘という意味合いをこめています。
 当社の「和字Revision 9」「和字Traditional 9」「和字Succession 9」
の和字書体3部作は、ほかに類のないスケールの大きさということでは、企
画として「独創的」であり「個性的」でもあるとの自負があります。また、
これらにふくまれる書体の多くは、いままでほとんどとりあげられることの
なかった素材で、未来のために残しておきたいものばかりです。

●最近の Revision 9・Traditional 9・Succession 9 の和字書体3部作は、
古い出版物などから和字を抽出して活字書体として再生されていますが、こ
のような手法をとるようになったきっかけはなんだったのでしょうか。

手法としては「秀英明朝」「ヘルベチカ」「艶」など、社員として過去に携
わった書体と変わるものではありません。「はつひやまと」なども同様で、
その延長上にあります。ですから、突然あたらしい設計手法にとりくんでい
るということではなく、ただ発展させているに過ぎません。
 ある大学の教材で欧文書体の解説書があることを知り、学生が日本では母
国語ではない欧文にしか興味をもたないというのではなさけないと思ったの
です。そこで、とくに和字書体についてその歴史を把握できるような書物が
できないか、タイポグラフィ関係の書物を多く出版している「朗文堂」にそ
の企画をもちこんだところ、「ヴィネット」のシリーズでやりましょうとい
うことになりました。それが『Vignette05 挑戦的和字の復刻』です。
 この書物のために、当社では和字書体も制作していたので、せっかくだか
ら、デジタル・タイプとしても販売しましょうかということになりました。
ですから「ヴィネット」の副産物として「和字 Revision 9」ができたとい
うことです。

●3部作のそれぞれを、わかりやすく説明していただけますか。

『Vignette05 挑戦的和字の復刻』(2002年 朗文堂)から誕生した「和字
Revision 9 」では、9書体それぞれが「点」として存在しています。江戸時
代以前の和様体(連綿を基調にした書風)、明治時代以降の本様体(一字一
字が独立した書風)、時様体(いわゆるゴシック体風)がバランスよく収容
されています。
つづいての『Vignette11 和漢欧書体混植への提案』(2003年 朗文堂)か
ら誕生した「和字 Traditional 9 」をくわえて、あわせて18書体となり、
「線」として歴史的なつながりをもつようになりました。結果的には和様体
が多く収容されています。
 さらに『Vignette14 和字─限りなき前進』(2005年発売予定 朗文堂)
から誕生した「和字 Succession 9 」においては「線」からさらに発展し
て、「面」をつくることをめざしたものです。これは和字書体としての分類
を考えてのことで、本様体を中心に収容されています。

●使用している道具やソフトウエアなどを教えて下さい。

このプロジェクトに関しては、Macromedia(現在はFont Lab)のFontographer
4.1Jと、Roll-Up Tool Mac 1.5JおよびBass-Packer2.5(いずれも株式会社
エヌフォーの漢字エディット・キット2.5同梱)を使用しています。

●それらの和字書体の制作手順を教えていただけますか。

まずは参考とする資料から書風を把握することから始めます。つぎに資料の
スキャン・データをFontographerのテンプレート・レイヤーに配置していき
ます。これを下図にして、ペン・ツールを使ってアウトライン・レイヤーに
双鉤填墨するわけです。場合によってはオート・トレース・ツールを使うこ
ともあります。
 つぎにポイントやBCPラインを、選択ツールなどを使って調整します。
この場合でも、書くという行為を忘れてただアウトラインに執着することが
あってはなりません。さらには文字列のなかで見て違和感のないように、全
体のなかでの、筆遣い、大きさや太さなどが調和しているかどうかを確認し
ながらすすめます。また、資料には存在しなかった不足の文字はあらたに制
作します。
 最初に制作する、いわゆる清音および撥音(ん)、音引き(ー)や、くり
かえし記号(〃々〆)につづいて制作するのは濁音および半濁音です。
Fontographer の「リファレンスをコピー」という機能をもちいて、該当す
る清音を流用し、そのうえで濁点および半濁点もまた「リファレンスをコ
ピー」という機能で付加していきます。完成したら「リファレンスのリンク
を解除」します。
 促音(っ)および拗音は、清音を縮小したうえで加工して作成します。縦
組および横組では位置が異なっているので、それぞれ清音との組み合わせを
みたうえで適正な位置に配置します。基本的には促音・拗音の中心ラインを
揃えます。
 約物(句読点類や括弧類)も和字書体のフォントにふくまれます。句読点
類は基本的には縦組用を制作したうえで、位置を移動したり回転させたりこ
とにより、横組用として流用します。括弧類は、「起こし」を反転させたり
回転させたりして「受け」を制作し、それらをさらに回転させて横組用を制
作します。
 最後に、字並び、姿勢、寄り引きを調整します。活字書体は一字一字の形
象ではなく、文字列として評価されるものなので、文字が単体として完成さ
れたものであっても、ほかの文字との関係の中では不具合となってしまいま
す。この調整には独自に工夫した専用ゲージをもちいています。
 和字書体制作の全工程が終わると、テスト出力と微細な修整をくりかえす
ことになります。基準となる使用サイズは、テスト出力の段階ではじめて目
で見て確認できるのです。この確認のためには、全字種全組み合わせの出力
物や、さまざまな文章組みの出力物を作成しています。
以上が基本的な設計手順ですが、それぞれの書体によってことなっていると
ころがあります。

●和字書体ひとつを完成させるのにどのくらいの期間が必要ですか。

書体によってことなるので、一概にはいえません。

●和字書体3部作の後も和字シリーズは続くのでしょうか。

3部作ですので、いまのところ第4弾は考えていません。具体的にはまだ決
定されていることではありませんが、個人的には、それぞれの書体のさらな
る研究と、実用に即したファミリー・システムの構築をすすめていきたいと
思っています。

●昨年秋に発売された「正調明朝体 Combinetion3」にふくまれる「金陵」
を皮切りに、これからは漢字書体をメインに制作されるのでしょうか。

日本語書体は、和字書体と漢字書体、さらには欧字書体との組合せによって
なりたっています。さらに和字書体を生かすためには新しい漢字書体設計・
制作しなければなりませんが、漢字書体は大きなフォントになりますので時
間がかかります。あせらずに取り組みたいと思います。
 和字書体と同様に、漢字書体もそれぞれの時代を代表する個性的で豊穰な
書体群があります。これらを知らないまま使うことができない状況にあるの
は、日本人としても不幸なことです。これらを紹介し、できれば選択肢に加
えていくことが、活字書体設計に携わる者としての責任ではないかと思いま
す。
「温故知新―ふるきをあたためてあたらしきをしる」ということばがありま
す。これは「過去の伝統を固守するのではなく、現代の火で温めなおして、
新しい意義を見いだす」という意味です。「復刻」においては現代の火で温
めなおすということが重要なのです。
 漢字書体もその歴史を把握できるように、せめてウェブ・サイト上だけで
も構築させたいので、とりあえずは試作レベルで充実させておきたいと思っ
ています。そのなかからユーザーのニーズを考慮して、現在において必要性
の高い書体を開発していきたいと思っています。

●シリーズ最初の Revision 9 の販売開始から約2年半。どのような反響が
ありましたか。

書物の装幀からはじまって、新聞の広告や映画のタイトルなど、はばひろく
使われているのをよく見かけるようになりました。雑誌での本文組みなどで
も使われるようになったようです。古くて新しい未来志向の書体が、じっく
り浸透していくことを願っています。

(ここから後は、皆さんにお聞きしているお決まりの質問です)

●文字に興味を持たれたのは、いつ頃で何がきっかけだったのですか。

文字ということでは、小学生の時に漫画を描いたり壁新聞を作ったりしてい
たときです。そのタイトル文字をきっかけに日本通信美術学園のレタリング
専科という通信教育を受講しましたが、なにしろ小学生だったのでひどい成
績でした。活字ということでは、高校時代に発行していた謄写版刷りの同人
誌からですが、あくまでも趣味程度のことでした。
 活字書体設計が仕事になったのは、大学を卒業して就職したのが写植メー
カーで、配属されたのが書体設計部門だったからです。別の会社に採用され
ていれば、もちろん活字書体の設計をしていなかったでしょう。

●書体デザインをする際に心がけていることはありますか。

客観的にみることです。簡単なようで、なかなかできません。

●書体をデザインするには、どんな勉強とか才能が必要だと思われますか。

あらゆる方面での知識・教養が必要になるので、いまだに毎日毎日が努力の
日々です。

●影響を受けた書体や書体デザイナーを教えてください。

写植メーカーに就職してから、社外の人と交流することはほとんどありませ
んでした。橋本和夫さん、故石川優造さん、故鈴木勉さんらは、職場の上司
として少なからず影響を受けたといえます。その2年後に鳥海修や片田啓一
(現在字游工房)が入社し、小林章(現在ドイツ在住)らがつぎつぎに入社
してきた1980年代前半は、それなりに楽しく充実した職場でした。
 影響を受けた書体としては、当時携わった「秀英明朝」や、「ヘルベチカ」
「かな民友」「紅蘭宋朝体」などがあげられます。

●本日は、どうもありがとうございました。今田さんの最近の活動がよく解
かりました。これからも活字書体の研究と開発が進むことを願っております。


◆今田さんの略歴
1954年岡山県和気町うまれ。1997年有限会社今田欣一デザイン室・代表取締
役。2000年欣喜堂・主幹。主著に『タイプフェイス・デザイン事始』(2000
年 ブッキング)、『Vignette05 挑戦的和字の復刻』(2002年 朗文堂)
など。タイポグラフィ学会会員。日本グラフィック・デザイナー協会会員。


◎欣喜堂★活字書体設計
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/kinkido/

◎CD-R版デジタル・タイプのご購入はこちらへ 販売:株式会社朗文堂
http://www.ops.dti.ne.jp/~robundo/

◎ダウンロードでのデジタル・タイプのご購入はこちらへ 販売:DEXWEB
http://www.dex.ne.jp/download/font/index.html



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【セプテンバー等幅をCDでお届け】 お待たせいたしました!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6月2日頒布開始したセプテンバー等幅。ベクターでのダウンロード販売が
先行しておりましたが、7月6日より「CDでお届け式」での販売が開始さ
れました。
クレジットカードは使いたくない・銀行や郵便局で支払いたい・商品を購入
所有したという実感が欲しい・会社や組織で購入したい……と思われている
方にお薦めです。

●セプテンバー等幅(サンプル画像)
http://www.type-labo.jp/GIF.IMAGE/Septmono.gif

●サンプルPDF(L、M、等幅、の3ページ596k)
http://www.type-labo.jp/DATA/Sept.pdf


●CDでお届け式(ピーシークラフトに販売委託)
 支払い方法(4種類)
 ・後払い決済サービス(商品到着後にコンビニ・銀行・郵便局でお支払い)
 ・クレジットカード(お支払い手続き完了後に商品発送)
 ・代金引換便(商品到着時にお支払い)
 ・銀行振込(ご入金確認後に商品発送)
 商品の実物が届くので、会社や組織内でも購入しやすいと思います。

◎セプテンバー等幅 1フォント 3580円(税込み)
https://www12.myssl.jp/www.type-labo.jp/web/Pccraftwaku.html



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【頒布フォントの掲示板をちょっとだけリニューアル】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
タイプラボ頒布フォントの掲示板すべてを、画像も含めて投稿できるように
改訂いたしました。
頒布フォントを使ってこんなモノを作った…とか、街で見かけた使用例…と
か、写真やSCAN画像を投稿してくれるとありがたいです。

●セプテンバーフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Septkeijiban.html

●あられフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Araletkeijiban.html

●キャパニトフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Capanitodohkohkai.html

●アニトフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Anitokeijiban.html

●えれがんとフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Elegantodohkohkai.html

●墨東フォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Bokutohkeijiban.html



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【新着フォント情報】最近発表されたフォントや最近発見したサイトなど
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●新井篆書
漢字の原点たる篆書を新たにデザインし、後世に伝えたい。新井重良氏渾身
の作を、フォントベンダーの面目躍如たらんと、デジタル化したそうです。
http://www.nisfont.co.jp/

●書籍「欧文書体 その背景と使い方」
月刊誌『デザインの現場』に連載されていた「欧文書体Q&A」に、大幅加筆
した欧文書体の解説書。
http://www.bijutsu.co.jp/bss/dezagen/new/

●モリサワが年間契約フォントライセンスシステムを発表
数年前にF社が始めた方式です。DTP関連の仕事をしていて、多くのフォン
トを使う人ならオトクだと思います。8月1日受付開始です。
http://www.morisawa-passport.jp/



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【書体の基礎知識】 装飾文字  今田欣一(寄稿)
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 ファンシー(fancy)は、「装飾的な」という意味がある。欧字のファン
シー書体は、十八世紀から十九世紀にヨーロッパ各国で数多く作られた。な
かには、アラベスク(arabesque 唐草模様)と組み合わせたり、天使や花と
組合せたりしたものもある。これらは、イニシャル・レターとして使われた
ようだ。
 日本語においてもレタリングの世界で作られていた「花文字」があるが、
活字書体として一書体そろっているのは珍しいようである。漢字は画数が多
く字数も多いので、制作に数倍の労力を要するうえに、用途が限られている
からだろう。そのつど、必要な字種だけを作っていたのだろう。
 漢字書体としての装飾文字は、年賀用活字として何種類か販売されていた
ようだ。年賀用活字としているだけに、字種はそう多くはなかったと思われ
る。雪の積った書体や、松竹梅で作った書体など、じつに多彩である。これ
らはそうとう苦心して制作されたのだろうが、完成度は低いといわざるをえ
ない。当然ながら文章組は無理だろうが、イニシャル・レターとして使えば
おもしろいのではないかと思う。
 現代のファンシー書体としては、故鈴木勉氏デザインの「スーボ」が挙げ
られる。「スーボ」は、第2回石井賞創作タイプフェイス・コンテスト
(1972年)で第1位を獲得した書体である。鈴木氏は当時23歳だったが、と
ても20代前半に制作したとは思えない完成度がある。
「スーボ」は、線をくい込み重ねるという装飾性と、大らかでユーモラスな
イメージで、ファンシー書体の先鞭をつけた。制作されてから30年以上が経
過したが、今も輝きを失っていない。効果的な使い方を期待したいところで
ある。


●スーボ 才能の文字(字游工房 鈴木勉の本より)
http://www.jiyu-kobo.co.jp/s_book/sb-text/sb-101subo.html

●この原稿の元になった書籍は、ネットから購入できます
タイプフェイス・デザイン事始 2,100円 
http://www.rakuten.co.jp/book-ing/397878/

●今田欣一さんのサイト
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/kinkido/



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Windowsのフォントトラブルで困っていませんか】
 2号目に掲載した情報ですが、トラブル体験者が多いので毎回掲載します
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 以下のようなフォントトラブルを解消します。
・ウィンドウ右上の最大化や最小化ボタンが数字などになってしまう
・ドロップダウンリストの▼や、スクロールバーの矢印が、
 数字やおかしな文字になってしまう
・アプリケーションで選択できるフォントが減ってしまう
・フォントをインストールできない
・フォントをインストールしても、アプリケーションのフォントリストに
 反映されない
・フォントが横向きになってしまう

●rmttfcache.vbs
http://homepage2.nifty.com/winfaq/fontstrouble.html



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【以下はタイプラボからのお知らせです】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今田さんの生真面目な性格を反映したのか、ちょっと堅いインタビュー記
 事になりました。いつもより漢字が多いようですので、がんばって読んで
 くださいね(笑)。

★その今田さんの執筆記事「書体の基礎知識」和文編は今回で終了です。
 次回から欧文編が始まる予定です。

★掲示板「読者の広場」をご存じでしょうか。このフォントNEWSの記事
 に関する話題、タイプラボのサイトのこと、フォントに関係なくてもOK
 です。気軽に書き込んでくださいね。
 http://www.type-labo.jp/Dokusyanohiroba.html

★フォントNEWSバックナンバーは↓こちらで見ることができます…
 http://bn.combzmail.jp/bn/e0wy_backnumber.htm

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◎タイプラボのフォントは、以下の2つの方法で購入できます。

▼▼CDでお届け式▼▼
・価格と詳細、購入手続きなどは↓こちら(ピーシークラフトに販売委託)
 https://www12.myssl.jp/www.type-labo.jp/web/Pccraftwaku.html

▼▼ダウンロード式▼▼
・価格と詳細、購入手続きなどは↓こちら(ベクター・プロレジに販売委託)
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 ご購入日から5年間、合計5回まで同じ商品をダウンロードできます。

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 もお伝えできなくなります。

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■    ■       タイプラボ・フォントNEWS 第19号
  〜〜    創刊日  2004年1月8日
 ―◯◯―   発行者  有限会社タイプラボ 佐藤 豊
  ……    MAIL typelabo@type-labo.jp
■    ■  WEB  http://www.type-labo.jp/
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