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[タイプラボ・フォントNEWS]
2005年12月 第24号
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このメールマガジンは、タイプラボのWEBサイトで無料フォントの使用者
登録をしていただいた方、タイプラボのフォントを購入していただいた方、
このメールNEWSの読者登録をされた方、などに配信しております。
先日から、外出するときにマフラーと手袋を着用するようになりました。
寒さに身を縮めていると、心の中まで縮まってしまうような気がします。
変な我慢をせずに、きっちりと防寒して、身も心も暖かくゆったりとしてい
たいですね。
創刊から満2年、24号目の今号は、【アニト-インラインをCDでお届け】
開始のお知らせ、【書体デザイナーに聞いてみました】、【新着フォント情
報】、そして【書体の基礎知識・欧文編】という内容です。
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【アニト-インラインをCDでお届け】 お待たせいたしました!
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11月5日に頒布開始したアニト-インライン。ベクターでのダウンロード
販売が先行しておりましたが、12月2日より「CDでお届け式」での販売
が開始されました。
クレジットカードは使いたくない・銀行や郵便局で支払いたい・商品を購入
所有したという実感が欲しい・会社や組織で購入したい……と思われている
方にお薦めです。
●アニト-インライン(サンプル画像)
http://www.type-labo.jp/GIF.IMAGE/Anitoinline.gif
●サンプルPDF(L、M、等幅、レリーフ、インラインの5ページ277k)
http://www.type-labo.jp/DATA/Anito.pdf
●CDでお届け式(ピーシークラフトに販売委託)
支払い方法(4種類)
・後払い決済サービス(商品到着後にコンビニ・銀行・郵便局でお支払い)
・クレジットカード(お支払い手続き完了後に商品発送)
・代金引換便(商品到着時にお支払い)
・銀行振込(ご入金確認後に商品発送)
商品の実物が届くので、会社や組織内でも購入しやすいと思います。
◎アニト-インライン 1フォント 3580円(税込み)
https://www12.myssl.jp/www.type-labo.jp/web/Pccraftwaku.html
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【書体デザイナーに聞いてみました】 idfontの井上優さん
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何年か前に、はじめて「idfont」のサイトを訪れた時、配布されてい
るカナフォントの数と品質に驚きました。それぞれのフォントから、使う場
面を想像させる独特な雰囲気が伝わってきました。
カナフォントは、商標権の登録などしない限りは商用使用も可能。
漢字を含めた日本語フォントのほうも、私的な用途で営利を伴わなければ、
自由に使用可能。
フォントを利用する側にはとてもありがたい条件で、フォントの頒布活動を
されている井上デザイン・井上優さんにお聞きしました。
●私がidfontというサイトを発見したのは2003年頃だったと思うので
すが、正式にサイトを開設されたのはいつだったのでしょう。
パソコンを手に入れたのが2000年の1月。フォントの制作もさる事ながら、
公開するホームページの制作にも四苦八苦している状況の中、2001年1月頃
Yahooのジオシティーにスペースを借りて、かなフォントの公開を試験的に
始めたのが最初です。
そのような手探りの状況だったので皆さんに使用して頂くための活動は全く
していませんでした。
当然、何処にもリンクされることなく開店休業の状態でした。
試行錯誤を繰り返しながら2002年の9月にテスト版の「懐風体」を公開する
ため、小さなサーバーにスペースを借りて新しくサイトを開設、気持ちの上
ではこの時が正式な開設だと思っています。
2003年5月「懐流体1」を公開、直後に「窓の杜」さんの記事で紹介して頂
いた事でアクセスが集中し、そのサーバーがダウン。その日の内にサーバー
の管理者からサイトの閉鎖を通告され、あわてて移転したのが現在のサイト
です。
この時を境にサイトを訪れる方が一気に増えた為、本格的にサイトの活動を
始めました。
そのような訳で、多くの方は現在のサイトしかご存じ無いと思います。
●フォント制作をされているのは井上さんお一人だけですか。
フォント作りは趣味の様な位置付けなので、全ての作業を私一人でしており
ます。
●フリーウエアとして配布されている29種のひらがなカタカナフォントに驚
きました。これらの書体はいつごろから制作を始められたものですか?
2000年の秋頃だったと思います、フォントツール「TTEdit」の存在を
知り試用してみると意外と簡単にフォントが制作できたので、早速遊びのつ
もりでかなフォントの製作に入りました。
ですから、フォントに関しての知識や制作する為の勉強など全くしていない
ズブの素人から始めたもので・・・今でも同じレベルで技術的な事などは良
く分からず、余り進歩はしていません。
カナフォントの制作を始めた時に、100は出来るだろうと大胆にも三桁のフォ
ント番号を付けましたが漢字を制作するようになって029で頓挫しています。
●そしてここ数年のあいだに、漢字も含んだ日本語書体7種13フォントを制
作されていますね。こちらもかなりの仕事量だと思います。こちらの制作に
ついても聞かせてください。
2002年の2月頃、初めての漢字フォント「懐風体」の制作に着手、同9月末
に「懐風体2」として公開。
この時「懐流体」や「壊石体」の制作も始めていましたし「懐遊体」を公開
した2003年12月頃迄は本業の時間をさいて制作をしていました。さすがに最
近は制作のペースが少し落ちてきました。
やはり還暦を過ぎると集中力も持続しなくなり、体力的にもきつくなって来
ています。
それでも時間が有れば、公開済みのフォントの再チェックや第二水準が収録
されてないフォントの追加制作、新しいフォントの構想など結構楽しんで
やっています。
●本業のお仕事について、よろしかったら教えてもらえますか?
以前はチラシやDMなど印刷の仕事もしていましたが、主にペンキでパネル
やテントシートなどに文字を書くことです。
特殊なところでは鏡の裏から文字やロゴマークを彫ったり(サンドブラスト
ではありませんが)、今ではコンピュータでカッティングされた文字がお店
のドアーやウインドウに貼ってありますが、古いお店などは昔ながらの金箔
文字を希望される事もあり、そういった作業もします。その他、鏡像文字も
35年余り書いております。
●フォント制作に使用している道具やソフトウエアなどを教えて下さい。
ソフトウエアは、武蔵システムさんのフォントツールTTEditと
OTEditだけです。
道具に付いては「ぽっぷまる」を制作するときに下書き用にペンタブレット
を使ってみましたが、使い慣れていない事も有り旨く使用できず、雰囲気さ
え掴めれば良いと使い慣れたマウスに戻したので、結局これと言った道具は
使用していません。
●制作する時の手順を教えていただけますか。
漢字を含む日本語書体の制作は、幾つかの漢字で簡単なデザインの特徴を決
め、エディター上でそのパーツ作りから始めます。ある程度パーツが完成し
たら、それらを組み合わせて漢字を制作していきます。
あとは漢字制作の合間にカナや英数字を制作します。
40数年文字を書いてきましたので、その間に経験してきたものが頭の中に
入っており、それらをディスプレー上に図形として再現していきます。いわ
ば画面上で文字を描くような感覚で制作していますから、基本的にはガイド
ラインやグリッドを用いる位で、下書きなどを使用することは殆んどありま
せん。
制作した中で唯一「ぽっぷまる」は、パーツを多用できなかったので
TTEdit付属の手書きエディターを使用して手書きフォントを制作、そ
の手書きフォントを下書き原稿として利用、再トレースして完成させたため
非常に時間が掛かりました。
一人での作業ですから同じフォントを長時間制作していると飽きてくるので、
気分を変えるために同時並行で別のフォントも制作しています、手順はその
時の気分次第なので一貫性はありません。
●漢字を含めた日本語書体ひとつを完成させるのにどのくらいの期間が必要
ですか。
先にも述べたように幾つかの書体を同時に制作していますから、余り一つの
書体に付いての期間を気にしたことはありません。書体にも依りますが第一
水準漢字までを製作するのに半年〜1年くらい掛かって居るのではないかと
思います。第二水準もセットするとその倍くらい時間ではないでしょうか。
その中で第一水準完成までの最短は「懐遊体」の約4ヶ月、最長は「ぽっぷ
まる」の約1年位、多分です。
● 制作中に悩んだこと、難しかったことは。
使用していたパーツでは旨くその文字が表現出来ない時など、パーツのデザ
インを変更するかどうかですね、
変更すればそのパーツを使用した文字全てを再制作しなければならず、また
最初と最後ではデザインに微妙な変化が出てきますので、全体の統一性を如
何に確保するかで苦労することでしょうか。
●有償使用される人はどのくらいいるのでしょうか。
元々フォントを売ろうと思って作り始めたのではなく、個人が楽しむ年賀状
やチョットした印刷物にでも使用して頂けたらと公開したもので、当初は商
用目的への使用はお断りしていました。
しかし有償でも良いからぜひ商用への使用をと希望されるお問い合わせも頂
く様になった2004年5月、個別に対応をするより使用料金をオープンにした
現在の方法で受け付けさせて頂く事にいたしました。ですから有償で使用さ
れている方は極僅です。
●人気があるのはどの書体ですか。
「懐遊体」や「懐流体」、最近公開させて頂いた「懐映体」なども良くご利
用頂いている様です。
ダウンロードのログ等は収集していませんので正確な数字は分かりません。
●ご自分で気にいっている書体は。
全てです、どれも苦労した作品ですから、でもまだまだ不完全なので修正し
て行くつもりです。
●文字に興味を持たれたのは、いつ頃で何がきっかけだったのでしょう。
話は古くなりますが、私の父親は着物の図案家でした。小学生の頃から絵の
具を砥いだり筆で簡単な色塗りを手伝ったりしながら(今から思えば、何時
も父親の仕事を邪魔するように見ていたので遊びのつもりで筆を持たせてく
れたのだと思います)育ったもので自分では後を継ぐつもりでいましたが、
経験のため一度他人の飯を食べてきてはと弟子入りしたのが、当時20数軒
の劇場(映画)看板を制作していた伯父さんの画房でした。
この画房では多くの職人が絵と文字それぞれ専門に分かれ制作に携わってお
り、たまたま17歳の頃に文字を書いていた兄弟子が一人退職したのを機に
その席を継ぎ文字を書きを始めたのがきっかけです。
文字に興味を持ったと言うよりも、仕事の流れから自然に文字と付き合う方
向に進んでいきましたから、文字が書けるというより下働きから一人前に筆
を持つことが許された喜びの方が大変大きかった事を今でも記憶しています。
その後無理を言って画房を退職、父親の後を継がず現在まで文字書き職人と
してやってきました。
伯父さんであり我が師となる竹田耕清先生[1901-1976]は勘亭流の書家であ
り京都南座で毎年十二月に行われる歌舞伎の吉例顔見世興業を飾る「まねき
看板」の揮毫者としても広く知られていました。
今年も師の後を継ぐ兄弟子の川勝清歩さんが書かれた「まねき看板」が南座
の正面に掲げられ街ゆく人々に師走の訪れを告げています。また、画房では
今でも従兄が手描きで映画の看板を製作しています。
●書体デザインをする際に心がけていること、どんな勉強とか才能が必要だ
と思われますか。
幼児がクレヨンで書いた文字でもデザイン性は十分にありますので、難しく
考える必要はありません。
心掛けていると言うのではありませんが、文字としての書式等にあまりとら
われず個々の文字を図形や模様として捕らえるようにしています。そうする
事で思わぬ形が見えて来るのではないでしょうか。
私自身フォントを制作し公開していますが、決して才能があるから出来たと
思っていません。
特別に勉強した事もありませんし、たまたまそういった環境の中で育ってき
ただけと思っています。
「好きこそ物の上手なれ」と言いますようにフォントに興味があれば、誰で
も自然に見たり聞いたりして身に付いていくのでは、と思います。
●影響を受けた書体や書体デザイナーを教えてください。
修行時代、先生や先輩たちは誰も文字の書き方など教えてくれません。先輩
の書いている横で下仕事をしながら技術的な事を目で覚え、仕事が終わって
からは新聞等の印刷物を参考に明朝体やゴシック体など文字を書く事を身体
で覚えていきました。
運良く17歳の頃には文字を書かせて貰っていたので、製作用に提供される
映画のポスターや宣伝用の資料などから書体やデザインを参考に、多くの看
板を書いた事がその後の仕事に大きく影響しています。
頭の中にフォントファイルが入っているようなもので、スキャンすればさま
ざまな書体が見えるかも???
●今後もフォント制作は続けられますよね。これからの予定などお聞かせく
ださい。
良い経験をした、一番苦しくて一番楽しかった昭和35年(1960)頃を思い出し
ながら、今後も制作を続けたいと思います。余り時間は残っておりませんが、
皆さんに気軽に使って頂ける少しレトロなフォントを一年に一つは公開した
いですね。
●本日は貴重なお話し、どうもありがとうございました。
idfont
http://idfont.web.infoseek.co.jp/
フリーウエア カナフォント
http://idfont.web.infoseek.co.jp/kana-1.htm
懐映体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/kana-1.htm
壊雲体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/kumo/kumo-img.htm
壊石体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/isi/isi-img.htm
懐遊体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/asobi/asobi-img.htm
懐風体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/kaze/kaze-img.htm
懐流体サンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/nagare/nagare-img.htm
ぽっぷまるサンプル
http://idfont.web.infoseek.co.jp/pop-maru/pop-img.htm
◆井上優さんの略歴
1945年 誕生
1960年 劇場の看板を製作している画房に弟子入り
1967年 画房を退職
1967年 デパートの装飾等を手掛けていた工房勤務
1968年 浴場の鏡広告会社勤務
1970年 独立、井上デザインとして現在へ
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【新着フォント情報】最近発表されたフォントや最近発見したサイトなど
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●Fontographer for Mac OS X
fontlab社から、Mac OS X用のFontographer4.7が発売されました。
・ユーロキャラクタのサポート
・encodingsをアップデート
・新しいIllustratorとFreehandとのコピー&ペースト
・多数のバグフィックス
http://www.fontlab.com/Font-tools/Fontographer/
●抽選で「手書き風書体2」をプレゼント
ダイナコムウェアが、アンケートに答えた方の中から抽選で「手書き風書体
2」をプレゼントしてくれるそうです。
http://www.dynacw.co.jp/dynafont/campaign/index.php
●モリサワ、OpenType4書体発売(12月5日より)
・ 徐明(じょみん)
・ くもやじ
・ 明石
・ 武蔵野(武蔵野 草かな付き)
http://www.morisawa.co.jp/news/fresh/20051124_1j.html
●欣喜堂、活字書体総覧完成
なかなか見ごたえがあります。
活字書体総覧[和字書体編](PDF 3.5MB)
活字書体総覧[漢字書体編](PDF 2.6MB)
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/kinkido/
●タイポグラフィの世界
大日本スクリーン千都フォントのサイト内ページ、更新されました。
なかなか読みごたえがあります。
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/index.html
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【欧文書体の基礎知識】オールド・ローマン体(前編) 今田欣一(寄稿)
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【A】イタリア――ベンボ
1 フランチェスコ・グリフォ(1450?―1518?)
アルダス・マヌティウス(1449―1515)の工房の建物はヴェネチアに残さ
れており、壁面にはアルダスの事跡をしるしたプレートが付けられている。
この工房において、多数のギリシャ・ローマ時代の古典文学を出版した。
ビエトロ・ベンボ(1470―1547)の著作『デ・エトナ』(1495―96)に使
われた活字書体こそ、オールド・ローマン体の成立を決定づけるものだった。
この活字書体は活字父型彫刻師フランチェスコ・グリフォ(1450?―1518?)
の手になるもので、ヴェネチアン・ローマン体にみられる個人的な書風が抑
制されている。
フランチェスコ・コロンナ(1433―1527)の著作『ポリフィラスの夢』
(1499)の製作もアルダス工房で請け負っている。この書物では『デ・エト
ナ』に使われた活字を改刻して、大文字がより威厳を増している。
これらの活字書体は、すぐに印刷人に影響を及ぼしたものではなかったが、
のちにフランスに渡ってその価値が評価されて、オールド・ローマン体の地
位が確立していくことになる。
2 ジョヴァンニ・マーダーシュタイク(1892―1977)
二〇世紀に入って、スタンリー・モリスン(1889―1967)がアルダス工房
の活字を見いだす。1923年に『ポリフィラスの夢』に使われた活字を「ポリ
フィラス」として復刻した。つづいて『デ・エトナ』に使われた活字を、そ
の著作者の名を冠して「ベンボ」として復刻する。
さらにモリスンは、ヴェローナのジョヴァンニ・マーダーシュタイク
(1892―1977)にもちかけて『デ・エトナ』の活字のさらなる復刻を要請し
た。マーダーシュタイクは1939年に「グリフォ」と名づけられた書体を制作
する。
マーダーシュタイクは1946年から56年までの10年をかけて、フランチェス
コ・グリフォがアルダス工房を去ってからの活字をもとにして新刻している。
これはボッカッチョ著『ダンテ頌』に使用されたのにちなんで「ダンテ」と
名づけられている。
【B】フランス――ギャラモン
1 クロード・ギャラモン(?―1561)
人文主義者のジョフロア・トリィ(1480―1533)はアルダス工房の古典文
学の書物に注目し、それらにもちいられていた活字の研究をクロード・ギャ
ラモンにすすめたのである。
ギャラモンは、印刷人シモン・ド・コリーヌ(1470?―1546)らとともに
これらの活字を分析して、フランス語に適するように試行錯誤を重ねていっ
た。完成したギャラモンの活字は、コリーヌの義理の息子ロベール・エティ
エンヌ(1503―59)によって印刷された『ミラノ君主ヴィスコンティ家列伝』
(1549)など、パリの印刷人によって多くの書物にもちいられた。
2 エゲノルフとバーナー活字鋳造所・プランタン活字鋳造所
ギャラモンの工房は、印刷所から独立した活字製作専門の工房だった。
ギャラモンの死後、その活字父型や母型は売却されて各地に分散していった。
ひとつはドイツ・フランクフルトのクリスチャン・エゲノルフ(1502―
1555)の活字鋳造所である。この活字鋳造所はエゲノルフの孫娘と結婚した
ヤコブ・サボン(?―1580)に継承され、サボンの死後に未亡人となったエ
ゲノルフの孫娘と再婚したコンラッド・バーナーに引き継がれた。1592年に
は『エゲノルフとバーナー活字鋳造所の見本帳』が発行されている。この見
本帳が「ギャラモン」の復刻のもとになったもので、1924年にドイツ・ステ
ンペル活字鋳造所が最初に手がけた。
もうひとつはネーデルランド・アントワープのクリストファ・プランタン
(1520?―89)の印刷所に売却したルートである。プランタン印刷所は『多
国語対照聖書』(1568―73)で知られ、現在は「プランタン・モレトゥス博
物館」として一般公開されている。アドビ・システムズの「ギャラモン」
(1989)は、プランタン・モレトゥス博物館に残されたギャラモンの活字を
詳細に調査したとされる。
3 ジャン・ジャノン(1580―1658)
スイス生まれの印刷人ジャン・ジャノンは、1612年にフランス・スダンで、
フランスでははじめてとされる書体見本帳を発行している。これに掲載され
た書体はギャラモンの活字をもとにしてはいるが、むしろ17世紀という時代
に求められて設計したものだった。
このジャノンの活字書体は、スダン・アカデミーの出版物に公式書体とし
て使用された。のちに宗教上の理由によって、フランス王立印刷局に没収さ
れてしまった。フランス王立印刷局の所有となったことで、ギャラモンの活
字であるとの誤解が生じてしまったのである。
フランス王立印刷局のジャノンの活字書体は、20世紀になって「ギャラモ
ン」と混同されたまま復刻されている。1917年のアメリカ活字鋳造会社
(ATF)の「ギャラモン」にはじまり、他の活字メーカーがこれに追従した。
フランチェスコ・グリフォとベンボフォント
http://www.linotype.com/7-407-7-12880/francescogriffo.html
http://www.myfonts.com/search?search%5Btext%5D=bembo
クロード・ギャラモンとギャラモンフォント
http://www.linotype.com/7-29-7-12286/worksandsamples.html
http://www.myfonts.com/search?search%5Btext%5D=Garamond
●今田欣一さんのサイト「欣喜堂★活字書体設計」
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/kinkido/
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【Windowsのフォントトラブルで困っていませんか】
2号目に掲載した情報ですが、トラブル体験者が多いので毎回掲載します
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以下のようなフォントトラブルを解消します。
・ウィンドウ右上の最大化や最小化ボタンが数字などになってしまう
・ドロップダウンリストの▼や、スクロールバーの矢印が、
数字やおかしな文字になってしまう
・アプリケーションで選択できるフォントが減ってしまう
・フォントをインストールできない
・フォントをインストールしても、アプリケーションのフォントリストに
反映されない
・フォントが横向きになってしまう
●フォントトラブル対処法とフォントの限界
http://homepage2.nifty.com/winfaq/fontstrouble.html
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【以下はタイプラボからのお知らせです】
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★以前から興味のあったサイト、idfont。井上デザイン・井上優さん
に関してこれまで情報を目にしたことがなかったので、今号でインタビュー
してみました。井上さん、快く取材を受けていただき、ありがとうござい
ました。
★「書体の基礎知識」次回は「オールド・ローマン体(後編)」の予定です。
漢字書体編は、当サイト上で↓まとめて見られるようになりました。
http://www.type-labo.jp/Shotainokisowaku.html
★池袋コミュニティ・カレッジで催される今田さんの一般教養講座
・「漢字書体を知る―中国の書物の歴史から」
2006年01月08日より第2・第4日曜 13:30―15:00
http://college.e-doc.co.jp/ikepri/files/200510/homepage/public/hp/20051012710.html
★当サイトの掲示板をご存じでしょうか?
あなたのパソコン内の画像を掲載することもできます。
●書体やフォント情報全般の掲示板
http://www.type-labo.jp/Danwasitsuwaku.html
●セプテンバーフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Septkeijiban.html
●あられフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Araletkeijiban.html
●キャパニトフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Capanitodohkohkai.html
●アニトフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Anitokeijiban.html
●えれがんとフォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Elegantodohkohkai.html
●墨東フォントの掲示板
http://www.type-labo.jp/Bokutohkeijiban.html
●フォントに関係ない話題でもOKな掲示板
http://www.type-labo.jp/Dokusyanohiroba.html
★フォントNEWSバックナンバーは↓こちらで見ることができます…
http://bn.combzmail.jp/bn/e0wy_backnumber.htm
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◎タイプラボのフォントは、以下の2つの方法で購入できます。
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今後このようなメールが必要でなく、登録を解除されたい方は、
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■ ■ タイプラボ・フォントNEWS 第24号
〜〜 創刊日 2004年1月8日
―◯◯― 発行者 有限会社タイプラボ 佐藤 豊
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