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第246回
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『世のため人のための「義」』
●2月23日土曜日に
知人のKIさんの起業10周年の感謝会に招待されました。
定年退職後起業され
ベンチャー企業支援や若いビジネスマンの
相談などで活躍されて来られました。
●仕事で交流した人々だけではなく、
小学校から大学時代の友人、お孫さんも含む家族全員を
紹介されました。
90人くらいの参加者全員が2〜3分づつ
スピ―チをするというユニークな会でした。
KIさんとの付き合いがあまりなくても
KIさんの人生が分かるという
ノンフィクション自叙伝のような感謝会で
僕にとっては初めてのイベントでしたが
非常に印象に残りました。
●いい人的交流の中で、
いい家族に恵まれ、
いい仕事をして来られた背景に
キリスト教徒としての信仰心も伺えました。
ドラッカーも明示はしていませんが、
キリスト教だけではなく、仏教や儒教の人間学が
マネジメントの根底にあるように
思います。
社会を成り立たせているのは
家族や企業や行政などが自分達だけの
利己心ではなく
世のため人のための「義」が根底にあるのだという
ことをKIさんの人生で見せてもらいました。
●
さて、
本日のテーマ
===================
1.愚になる
2.人間は誇り高く罪ある存在である
3.クロスファンクショナルチーム(CFT)
===================
1.愚(ぐ)になる
■法然から始まった日本的仏教の念仏
「南無阿彌陀仏」(なむあみだぶつ)の他力本願
とは「愚(ぐ)」になることだそうです。
「理」による自力で悟りを得るには
限界がある。
愚になれとは「理」の代わりに
「情」、あるいは「感性」の力を利用することと
言えます。
■法然は自分が秀才であるが故に
「理」によって苦しんだのではないかと
松原泰道師は解説しました。
「理」とは言葉による思考で
人と人の間にずれが生じ分裂の原因になる。
理屈っぽいとか小賢しいとか
日本では「理」をあまり尊重してこなかった。
■法然は闘争の原因である「理」を捨てて
愚になることの必要性を繰り返し説きました。
愚になることは「無我」になることと
同じじゃないかと思います。
自分と他人の境界を強く意識しない。
■「愚」になることは人が人と繋がることである。
「理」は孤独な魂(たましい)が内側に向かうそうです。
愚になることで
孤独な魂(たましい)が
「阿彌陀仏」(あみだぶつ)という時空を超えた
大きな存在と結ばれるのです。
「愚」になることは
人と人との関係の中で楽しく生きることのようです。
4.人間は誇り高く罪ある存在である
■ドラッカーは人間とは何かという哲学的な問いに
自問自答しました。
マネジメントの目的は
成果をあげることだけれども
成果とは
組織の価値観や信条によって異なる。
■家族も町内会も企業も、社会も
どんな仕事にせよ、
一つの絶対的な目標や基準があるわけでありません。
利益が唯一の基準ではない。
利益にせよ、平和にせよ、
絶対的な基準は自由からの逃避に過ぎないと
ドラッカーは言います。
絶対的基準があると悩まない一方で
思考が停止してしまう。
自由は楽ではないのです。
■特定の理念や理想を唯一絶対とする
理想主義者や狂信的な人々
に対しては現実主義者として
対抗しなければならない。
一方で
理想や理念などはあり得ないとする現実主義者
に対しては
理想主義者として対抗しなければならない。
一見矛盾する中で
人間は悩み、考えなければ、生き残れないと
ドラッカーは言います。
■ドラッカーは「中庸」の思想と同じだと思います。
自由とは「不完全」さと「責任」の二元性(中庸)
を基盤とする。
選択の「権利」と「責任」の両方が無ければならない。
人間とは「誇り高く」しかも「罪ある」存在である。
同じものを別の視点から見ると
対立(二元)しているけれども
もっと高い所からみると
同じものなのです。
5.クロスファンクショナルチーム(CFT)
■日産のゴーン革命で有名なのが
CFT(クロスファンクショナルチーム)です。
CFTとは機能横断チームのことで
各部門から部門にまたがる全社的課題解決の
意欲のある人材を集めました。
■経営課題は部門ごとに完結するのではなく、
いろんな部門に関わります。
通常プロジェクトチームや
委員会と称する改善チームが作られますが、
その運営は巧く行かないことが多い。
全社的目的や意義が意識されず
責任逃れになりやすい。
■ゴーン氏が入る前の日産は
経営陣が方向を失い、
成すべき優先順位を見失っていたと言う。
全社員がビジョンを共有していなかった。
切迫した危機感もなかったと
ゴーン氏は振り返ります。
■「問題の定義と解決の鍵は社内にある」
これがゴーン氏の下した処方箋でした。
通常コンサルタントの仕事も
社内で問題解決のヒントを見つけることです。
社内で自主的に問題解決案を提供させる場として
CFTを作ったのです。
社員の手足を使うのではなく
社員の頭と心を使うツール(道具)が
CFTだったのです。
又社内報、社員メール、意識調査など多用しました。
ビジョンの共有と戦略の見える化が
会社を変えた。
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今岡善次郎
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